メタ認知とは、自分を外側から見ることにより、今の自分の思考、感情、行動を冷静に分析することです。
などと聞くと、なんだか難しく感じてしまいますが、意外と簡単にメタ認知する方法もあります。
しかもその方法は、自分自身に暗示をかけて緊張を和らげ、次第にやる気を高めてどんなことにも挑戦していくことが可能になるのです。
会議やプレゼンなど人前に立って説明する時、好きな人に告白する時、災害や事故に見舞われて意気消沈している時など、不安や恐怖を感じるものに挑戦するときに活用できます。
そこで今回は、簡単にメタ認知ができて即効果が出る方法についてお伝えします。
なぜメタ認知が必要なのか
メタ認知が成長のカギ
メタ認知は、自分を俯瞰的に見て冷静に分析することであると冒頭でお伝えしましたが、実は、それができるのは私たち人間だけです。
脳科学では、人間が進化の過程で最後に手に入れた最も高度なスキルであると言っています。
トライ&エラーで挑戦し続けるためには、あなたの思考や感情、行動を把握する必要があります。
メタ認知によって自分を客観視することにより、良くない習慣を変化させて自分自身を成長させることができるのですよ。
メタ認知することの利点
私たちはついつい、自分自身の感情を視点に物事を考えてしまいがちですよね。
例えば、そこまで必要ないのに欲しいからという理由で買って満足し、その後使わずに放置してしまったり、気に食わない事に激怒して発言した結果、人間関係を余計に悪化したりしてしまうのは、感情に流されてしまうから。
メタ認知をすれば、そのような間違いは少なくなります。
しかも、感情だけでなく、「今の自分の考えは良い方向へ向かうのだろうか。」、「今取っている行動は、良い結果をもたらしてくれるのだろうか。」などと、思考や行動にもメタ認知を活用することで、より良い結果を手に入れることができるのです。
また、メタ認知は脳の老化を防ぐとも言われています。
どういうことかというと、メタ認知をしている時は前頭前野が活性化されて、アンチエイジングにつながるということ。
自分の習慣を良い方向へ変えるだけでなく、若返りも図れるということもメタ認知の利点ですよね。
やる気を高めるメタ認知の方法
一人称ではなく二人称で呼ぶ
これは、隣にいる人に話しかけるように自分に話しかけるメタ認知の方法です。
例えば、心でささやく時に「私ならできる。」と言うのではなく、「君ならできる。」とささやくのです。
メタ認知とは自分を客観視することですので、自分を他人のように見る必要があります。
自分自身のことを、一人称(I)ではなく二人称(You)で呼ぶことにより自然と客観視できるようになる、というテクニックです。
アメリカのイリノイ大学などが実験しています。
143人の学生を対象に、次の2つのグループに分けてアナグラムの問題を解いてもらった。
制限時間内に何問解けるかを測定し、頭の回転やモチベーションを調べたもの。
グループ1:私(I)ならできると自分を励ましながら解く
グループ2:君(You)ならできると自分を励ましながら解く
結果、グループ2の学生は、グループ1の学生と比べ、問題を解くスピードも量も圧倒的に多かった。
アナグラムとは…
アナグラムとは、シャフルされている文字を並び替えて、一つの文字や文章にする問題のこと。
【例題】
次の文字を並び替えて、意味がある言葉にしなさい。
くさくきつせらさ
【回答】
さくらさくきせつ
二人称を使った自己暗示の方法が、体を動かすモチベーションにも効果があるのかを調べるため、2つのグループに分けて2週間エクササイズを行った。
グループ1:一人称で自分を励ましながらエクササイズを続ける
グループ2:二人称で自分を励ましながらエクササイズを続ける
結果、グループ2の方がエクササイズを続けることができ、二人称で自分を励ますことは、中長期的なモチベーションアップにも効果的であることが分かった。
二人称自己暗示法が良い理由
二人称を使ってメタ認知する方法がなぜ良いのか、明確な理由は残念ながら不明です。
一説によると、他人から応援されている感覚になるからではないか、と言われています。
他人から見られていると、自己コントロール能力が上がり、やる気が高まったり集中力が続いたりします。
【家での勉強が楽々集中!効率2.5倍UPの環境構築法】でお伝えした、机上に鏡を置くと集中力が高まるというのも、それが理由です。
「君(You)」という言葉を自分に使うと、自分自身をもう一人用意して外から見ている感覚になります。
すると、自分の思考や感情、行動を今の自分自身と切り離して、客観的に見ることができるようになるんです。
「大丈夫だ、落ち着け、君はできる。」というだけでメタ認知ができる方法は、お手軽ですよね。
三人称でメタ認知する方法はどうか
ここでいう三人称とは、彼(He)や彼女(She)のことではなく、自分の名前のことです。
「君なら大丈夫だ。」という代わりに「(あなたの名前)なら大丈夫だ。」とささやく方法です。
これも、他人から応援されている感覚になるため、効果的と言えるでしょう。
ガンダムのパイロットであるアムロ・レイも、出撃前に「アムロ、上手くやれよ。」と言って、客観的に自分を励ましていました。
彼は、ただのニュータイプではなく、できるニュータイプだったということですよね。
ガンダムを知らない人は、「何の話?」と思うかもしれませんので、これ以上ガンダムの話はしませんが、とにかく追い詰められている時ほど、客観的に自分に問いかけることが大事ということです。
しかも、二人称や三人称で自分に語りかけることは、いつでもどこでもできるので、超お手軽にメタ認知できる方法なのです。
まとめ
「仲良く付き合っていきたい人たちのことは自分事のように考え、自分自身のことは他人事のように考えると上手くいく。」と言われています。
私たちは、どうしても自分の色眼鏡で相手や物事を判断してしまうため、その色眼鏡を外すためにも、そのような考え方は大切ですよね。
相手と接するときに、「もし自分だったら…」と考えれば大きなトラブルを避けることができますし、逆に自分の事を客観的に判断できると、失敗が少なくて済むのです。
ただ、自分を切り離して客観的に見ることは、かなり難しいこと。
どうしても、その時折の感情に流されて判断してしまうからです。
一番効果的なメタ認知の方法は、紙に書き出すことです。
今の自分の感情はどういう状態か、何を考えているのか、今まで取ってきた行動は合理的なことだろうか、などをつらつらと書き出すのです。
でもそれって、毎回やるのはしんどいですよね。
そこで、二人称あるいは自分の名前で自分を呼ぶというメタ認知の方法を活用します。
心の中でささやくだけでメタ認知ができるだなんて、なんて簡単なんでしょう、と思いませんか。
たったそれだけで、自分を客観視して冷静になることができるんです。
それと、不安や恐怖を感じている時、緊張している時などのネガティブな感情を抱いている時だけでなく、ハイテンションになっていたり、妙に気分が高揚している時にも二人称のメタ認知方法を行うべきですよ。
「君は今、やけにテンションが高いけど本当に大丈夫か。」などと、自分自身に問いかけます。
なぜそのような必要があるのかというと、テンションが高まっている時ほど足を踏み外しやすいから。
一度、客観視して我に返る必要があるということですよね。
ネガティブな時、そしてポジティブすぎる時に、今回お伝えしたお手軽メタ認知の方法を試してみてください。
お手軽メタ認知の方法!やる気を高める二人称自己暗示法 まとめ
- メタ認知ができるのは、私たち人間だけ
- メタ認知は、人間が進化の過程で手に入れた最も高度なスキルである
- 挑戦し続けるためには、あなたの思考や感情、行動を把握する必要がある
- 感情に流されて誤った判断をしてしまうことが少なくなる
- 思考や行動にもメタ認知を活用することで、より良い結果を手に入れることができる
- 脳の前頭前野が活性化され、脳の老化を防ぐ
- 自分自身を一人称ではなく二人称で呼ぶ
- 二人称で呼ぶことにより、やる気を高めることができる
- 二人称で呼ぶことは、中長期的なモチベーションアップにも効果的
- 明確な理由は判明していない
- 一説によると、他人から応援されている感覚になるから
- 他人から見られているという感覚は、自己コントロール能力を向上させる
- 自分自身をもう一人用意して外から見ている感覚になり、客観視することにつながる
- 「アムロ、上手くやれよ。」というように、自分の名前を呼んで励ますことも効果的と考えられる
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