日本のマーケッターの第一人者である神田昌典さんは、毎年「『2022』全国縦断講演ツアー」を2012年から開催しています。
私はそのような講座があることを知りませんでしたが、今回知り合いから、大型連休中(2020年5月10日まで)に今年1月に東京で開催された講座を、無料で閲覧できるという情報を教えていただき、
「日本でもトップクラスの知識量を誇る神田昌典さんの話を聞かないわけにはいかないだろう。しかも無料かよ!」
と思って早速見てみることに。
そこでは、これからは会社という組織の重要度は減り、その代わりに会社の外にコミュニティを求める人が増える。
そのためには、10x(てんえっくす)目標と鍵となる成果が重要視されるというようなことが語られていました。
他にも、マーケティングなどの話がされていましたが、それらは本から学べることでもあるので、今回は省きます。
神田昌典さんが100%正しいということではありませんが、これは特に重要だろうと私が感じたことを、私の知見や知識を交えながら、お話ししていきます。
会社がなくなる時代とは?
会社がなくてもコミュニケーションが取れる時代
インターネットの通信速度が5Gになるなど、ネットの急発達によって、会社へ行かなくてもコミュニケーションが取れる時代ということです。
本当に会社そのものがなくなるかはわかりませんが、象徴化(シンボル化)する可能性は十分にあり得ます。
このことは講座では話されていませんでしたが、(1月の講座でしたので)、新型肺炎による外出自粛で、リモートワークを行う会社がかなり増えました。
TwitterなどのSNSを見ていると、自粛解除後も、リモートワークを続けるという会社は少なくないようです。
このように、会社へ行かなくてもコミュニケーションが取れるので、会社という存在が曖昧になるのではないかと、神田昌典さんは指摘しています。
会社に依存せずに独立自尊する時代
今は、会社へ行かなくても個人で稼げる時代です。
YouTuberやブロガー、マーケッター、セミナー講師などがその代表例で、サラリーマンの何十倍もの金額を、個人で稼ぐ人達がいます。
むしろ、自分は何がやりたいのか、どのような特技があってどう活かして稼ぐのかを考えられない人は、これからの時代を生きていくことに非常に息苦しさを感じるかもしれません。
自分にできることは何なのかを見つめるためには、一人の時間が必要です。
『自分との向き合い方が上手い人の特徴と未来を決める7つの質問』で話しているようなことを一度行って、これから何をしていこうか探求心を養うことから始めましょう。
人生100年問題
一昔前までは、人生80年と言われていました。
しかし、衛生が発達し、多趣味になり、健康的な生活が増えた今では、人生100年と言われています。
(医療の発達というよりも衛生の発達によって寿命が長くなっています。)
ところが、生きてくためにはお金が必要です。
100歳まで働く…わけにはいきませんよね。
働けなくなってから死ぬまでの間の貯金を、何とかして確保しなければなりません。
ただそこには、大きな問題がいくつもあるのです。
その代表的な例を挙げておきます。
- 年金2,000万円問題 (財政的な不安。今の年金だけでも生きていくのは難しいのに、さらに2,000万円足りなくなる。)
- 40代からの希望退職 (ようやくスキルが身に付き、いざ会社へ還元しようとしたときに、希望退職が要請される。ライフワークを見直さなければならない。)
- 50代からの役職定年 (再雇用制度により、役職がなくなり新入社員と同等の給料になる人が続出する。生活費や教育費により貯金できず、生涯現役になる可能性あり。)
- 教育費の高騰 (平成元年と比べると、1.6倍の教育費が必要となっている。これからも徐々に上がることが予想される。しかも、受験教育費だけでなく起業教育費も必要となる。)
- 2人に1人ががん患者 (高齢社会に伴い、治療してくれる病院を見つけられない。治療よりも予防をしなければならない。)
会社に依存しっぱなしだと、生涯現役を余儀なくされるので、独立自尊しましょうというお話しです。
コミュニティの必要性
人は居場所がないと生きていけない
私たちが一人で孤独に生きていくことは、かなり難しいですよね。
人生の満足度を上げるため、人間関係で大事なことは2つあります。
それは、「気軽に相談できる仲の良い人(友人など)が3人ほどいる」+「どこかのコミュニティに属している」ことです。
このことについては、『友達がいないと幸福度が低下する?!交友関係を築く場所はココ』で詳しくお伝えしましたので、合わせて確認しておきましょう。
同志は全国にいる
インターネットの普及と共にソーシャルネットワークが発達した今では、いつどこにいても誰とでもコミュニケーションが取れるようになりました。
人とつながり過ぎるのは返ってストレスになって、それはそれで問題ですが、ポイントは会社にいなくてもコミュニティを形成できるという点です。
むしろ、どんな仕事をしていたとしても、会社の居心地は良くないと感じて会社の外に居場所を求める人は増えてきています。
例えば、ソーシャルゲームでギルドを形成して、その人たちでオフ会をするというのもその一つです。
ちなみに神田昌典さんは、オンライン飲み会で同志を集めましょうとおっしゃっていました。
新型肺炎による外出自粛により、今となっては当たり前のことですが、神田昌典さんは、2012年の頃から行っていたそうです。
これは、プライベートと仕事をしっかりと分けることなので、いいことなのではないかと私は思います。
(ソーシャルゲームが良いかどうかは置いておいて…)
仕事で抱えたストレスをプライベートに持ち込むと、全ての人間関係が悪化するので注意が必要です。
しかし、会社の外にコミュニティを求めれば、そのような対人トラブルを回避しやすくなるのです。
10x目標+鍵となる成果
画像の出典:アルマ・クリエイション株式会社 神田昌典『2022』全国縦断講演ツアー 東京プレミアム講演2020 資料より
コミュニティの形成で必要なもの
コミュニティを形成するためには、何か一つ目的や目標を作る必要があります。
それもそのはず、ただ単に「集まってください。」と言われても、何のためなのか分からなければ、あなたもその場へは行きませんよね。
コミュニティを作るというのは、一種の部活のようなものです。
「これを行う」という目的や「ここへ向かって進む」という目標を掲げて、コミュニティを形成することになります。
そしてその時に重要になるのが、「10x(てんえっくす)目標+鍵となる成果」なのです。
実は、GoogleやAmazonなどの企業が急成長したきっかけも、この2つを取り入れたからでした。
ITの技術ももちろんすごいのですが、それよりもIT技術を生み出すための部活のやり方がすごかったということです。
10x目標とは?
「10x」と書いて「てんえっくす」と読みます。
どういう意味かというと、10を掛け算する、つまり「10倍」ということです。
「10倍目標」と言うよりも「10x目標」と言った方が人の目に留まりやすいので、そう呼んでいるんでしょうね。
トップマーケッターである神田昌典さんがつけたキャッチフレーズです。
10x目標とは、目標を掲げたらそれを10倍にしたものをビジョンとしましょうというもの。
10倍の目標となるとかなり高い目標になりますが、それを掲げる必要があるのです。
現実的過ぎる目標だと、モチベーションが上がらないですし、能力がある人も来てくれません。
そのため、「いや、これを達成するには無理難題が多すぎる」というような目標を掲げると良いのです。
GoogleやAmazonも行っていることで、それを私たち個人が行うと急成長することでしょう。
鍵となる成果とは?
10x目標で注意しないといけない点は、あまりにも大きすぎる目標のため、それ単体だけでは返ってモチベーションが下がってしまいます。
そこで活用すべきなのが、「鍵となる成果」です。
鍵となる成果とは、10x目標をいきなり達成しようとするのではなく、そこに行きつくまでにはどのような手順が必要で、今やるべきことは何かを考えるということです。
この、大きな目標を掲げながらも小さな成果を一つずつ達成していく手法を、OKRといいます。
現実不可能な目標を現実に落とし込んでいくって、矛盾していますよね。
この矛盾する2つが合わさると、爆発的に急成長を遂げるのです。
なお、抽象的な大きな目標を掲げながらも、具体的な小さな行動を取っていくことについては、以前、『どうにかしたいサボり癖…解釈ひとつで中途半端を直す方法』でもお話ししました。
大きな目標と小さな行動をどう両立させればいいか分からない場合は、そちらの記事を確認しましょう。
10x目標+鍵となる成果のカラクリ
10x目標で大きな目標を掲げながらも、実際の目標数値は半分にするか、2倍の時間をかけるようにすることがポイントです。
しかも、日々(又は中間点)の目標を、100%達成してはいけません。
Googleでは、10x目標→実際の数値は半分(又は実施期間を2倍)→60%以上達成しない
ということを行っています。
つまり、実際のノルマは10x目標からするとかなり低いのです。
「あれ?でも、これならせっかく掲げたビジョンが意味なくない?」
と思うかもしれませんが、よく考えてみてください。
元の目標は10倍のため、数値だけで考えると、次のような計算になります。
10×0.5×0.6=3倍
神田昌典さんは、ここまでの話はしていませんでしたが、よくよく考えたら、通常の3倍のスピードで物事が進むよなーと。
シャア・アズナブルみたいな感じですね。(←ガンダムが分からない人はスルーしてください。)
10x目標はモチベーションアップが目的のため、必ずそれを達成しないといけないというものではありません。
10x目標でやる気を奮い立たせ、実際に達成する数値は低くする。
これが、10x目標+鍵となる成果で急成長を遂げるカラクリです。
- あなたの目標に関して主要な成果を数字で挙げてください。
例:体重を5kg減らすために、1日5分筋トレして30分散歩する
- その目標に対して10倍してください
例:1日50分の筋トレをして300分散歩する
- 10x目標の数値を半分にしてさらに春夏秋冬に分けてそれぞれ60%達成する目標を立ててください
例:(1日に)春→筋トレ1分間+散歩10分、夏→筋トレ3分+散歩20分、秋→筋トレ5分+散歩30分、冬→筋トレ7分+散歩40分
習慣化するために、最初は簡単にできることから始めるのがポイントです。
また、目標の数値は、達成値ではなく行動に対して数値を設定すると良いです。
例で挙げた計算方法は、春夏秋冬でさらに0.4倍(四半期に分けたので0.4倍)しているのでこの数値になっています。
(10×0.5×0.6×0.4=1.2倍)
しかしこれだけでも、秋には当初の目標を達成し、冬には追い越している計算となります。
大事なのは日々の習慣
同じ習慣はボケても続く
あなたの日々の習慣は何ですか。
恐ろしいことに、私たちの日々の行動の40%は、意思を伴わない無意識な行動で、しかもボケてもそれが続くと言われています。
その習慣が、大きな目標を達成するためのものであればいいのですが、たいていの場合は、やる必要のない無駄な行動です。
例えば、スキマ時間にSNSをチェックする癖や、食べながらテレビやYouTubeを見る癖、夜寝る前にベットの上でネットフリックスを見る癖などです。
さて、あなたが無意識に行っている行動は、本当に必要なことでしょうか。
10x目標+鍵となる成果を達成するためにも、今一度見直してみましょう。
意志を要さない小さな習慣は何ですか?
一人の時間を見つけて書き出してみてください。
努力をなくす方法
大きな目標に近づくためには、何かしら行動を取らなければなりません。
しかし、最初は慣れないので、3日坊主で終わってしまうことがほとんどです。
小さなことを続けて行っているうちに、それが習慣化されて努力ではなくなるのです。
ところで、私たちが一つの行いを習慣化するまでには、どれくらいの期間を要するでしょうか。
7日間、30日間、60日間、120日間…
答えは、平均66日間(約2か月)です。
2か月間同じことを繰り返していくうちに、最初は意識して努力していたことが当たり前となるのです。
そうなるためには、先ほど行った[あなたの10x目標+鍵となる成果を考えてみましょう]で、無理のない目標を四半期毎(又は1か月や2か月毎)で決めて、少しずつ実行していきましょう。
ちなみに私も、このブログは何カ月も前から続けています。
でも、毎日休まずに投稿することはできていません。
飽きてきますし、モチベーションが下がりますし、知識のインプットも疲れてくるんですよね。
時には休むことも必要だと思います。
休んだとしても、また元のように続ければいいです。
途中途切れたとしても、また復活すれば、長期的には続いていることになります。
まとめ:夢をやり抜く人が評価される時代
今では、学歴や会社の規模ではなく、夢をやり抜く人が評価される時代へと変化しています。
私の周りでも、高卒で就職して貯めたお金を投資に回し、月に高級車1台ずつ買えるくらいの収入を得ている人や、中卒で仕事を始めて10年で数十億円を稼いだという強者もいます。
これは極端な例ですが、例えばYouTuberのように、自分のスキルや得意とすることを動画を使って伝え、会社という概念にとらわれずに自由に稼いでいる人達もいますよね。
こんなことを聞くと、
「会社員や公務員といったサラリーマンだって必要なんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、それはもちろん、そのとおりです。
でも、今までのように就職すれば安泰というようなことは通じなくなってきています。
起業や独立をしないまでも、老後に備えて副業などで自分の手で副収入を得ることは大切です。
「給料を受け取る」だけでなく、少しでも「自ら稼ぐ」力が必要とされている時代なのです。
その証拠に、文科省(高等学校指導要領:総合的な探求の時間編)でも、センター試験を廃止し、その代わり探求試験を行うことを検討しています。
探求試験とは、自分のやりたいことは何なのか、どのようなことに挑戦し、どのようなスキルを伸ばしてそれを社会に貢献・還元していくのかという試験です。
やりがいを見つけられない学生は、大学に進学できないことが予測できますし、もっとヤバいのが既に社会人になっている私たち大人です。
夢を見つけてそれをやり抜こうとしなければ、社会から淘汰される可能性があるからです。
これを読んだあなたは、運が良いです。このことに気づけたので。
自分の夢は何なのか、そのために今やるべきことは何なのかを、「10x目標+鍵となる成果」を使って考えてみてください。
【神田昌典氏】会社がなくなる時代に躍進するための新技術 まとめ
- 会社がなくてもコミュニケーションが取れる時代
- 会社に依存せずに独立自尊する時代
- 人生80年から100年へシフト
- 働けなくなってから死ぬまでのお金をどうするか
- 人は居場所がないと生きていけない
- 信頼できる人3人+何かのコミュニティに属していることが必要不可
- 同志は全国にいる
- 何か一つ目的や目標を作る必要がある
- 10x目標とは10倍の目標を立てること
- 鍵となる成果とは10x目標の半分以下の目標値のこと
- 10倍の目標を定めて細かくプランに落としたらそのノルマは60%未満にする
- 無理な目標を掲げつつも無理に実行しないことで急成長を遂げる
- 同じ習慣はボケても続く
- 習慣化までに平均66日かかる
- 小さなことを続けて行くうちに努力ではなくなる
- 夢をやり抜く人が評価される時代
お断り
神田昌典さんの講座内容を話すつもりが、ほとんど私の知見となってしまいましたことをお許しください。
講座の内容をそのまま話すこともできたのですが、やはりそれは著作権からしても知識の習得の観点からしてもよろしくないので、そうさせていただきました。
実際には、マーケティングを含め、もっとたくさんの内容をお話しされていました。
なお、この記事の内容は、あくまで予測であり、近い将来に100%起こるものではないことをご了承ください。
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