本番に弱い人、何をやるにもすぐに緊張してしまう人がやると良いことについてお話しします。
結論から言うと、最も手軽でかつ誰にでもできるのが瞑想です。
瞑想をすることで緊張を和らげることができ、本番でパフォーマンスをフルに発揮することができるようになります。
「いや、瞑想なんてやったことないし、瞑想のやり方を覚えるだけで頭が混乱しそうだ。」
と思うかもしれませんが、大丈夫です。
基本的には深呼吸をするのとあまり変わりませんし、どのように行うと良いのか、そのポイントも解説いたします。
ということで今回は、緊張を和らげる瞑想のやり方についてお伝えしていきます。
なぜ瞑想が良いのか
瞑想の方法をお話しする前に、瞑想の効力についてお伝えします。
この効力を知っている状態で瞑想をするのと知らないでするのとでは、瞑想後の効果に違いが出ますので、しっかりと確認しておきましょう。
脳波がβ波からα波へ移行する
気を張っている状態や緊張している状態の脳波は、β(べーた)波になっています。
β波は、14Hzから38Hzまでの周波数の脳波のことです。
交感神経が働くとβ波になるのですが、このβ波そのものがいけないということではありません。
ただ、その状態が続くと、ストレスを感じやすくなり、不安で夜も眠れないというようなことになってしまうのです。
一方、α(あるふぁ)波とは、リラックスしていたり物事に集中していたりする(俗にいうゾーンに入っている状態の)ときに発せられるもので、周波数は8Hzから14Hzです。
瞑想を行うことにより、緊張状態にあるβ波からリラックスモードであるα波へ移行することができます。
脳の基礎体力が上がる
とある研究によると、1日20~25分の瞑想を8週間行った結果、うつの傾向が改善し、さらにストレスの耐性と集中力の向上が認められました。
瞑想を行うことにより得られる利点は、他にも以下のようなものがあります。
- うつや不安の症状が軽くなる
- 緊張を和らげる
- ストレスに強くなる
- 集中力が上がる
- 意志の力が上がる
- 新しいアイディアが思い浮かぶ
- 記憶力が向上する
- 感情のコントロールが上手くなる
脳の基礎体力がない状態で新しいことにチャレンジしても、ほぼ上手くいかずに挫折することでしょう。
瞑想を行うことで、脳の基礎体力を上げることができ、様々な恩恵を得ることができるのです。
緊張を和らげる瞑想の方法
瞑想は数分でも構わない
先の研究では、1日20分程度の瞑想を8週間行ったというものでしたが、これを聞くと、
「瞑想を20分もやるなんて無理だよ。それこそ集中力が持たないしやる気も出ない。」
とモチベーションが下がってしまうこと思います。
でも安心してください。
ある日本のテレビ番組では、水泳選手にfMRI(脳波を測定する機械)を頭に取り付けて、練習後に瞑想を5分やってもらったところ、たった5分の瞑想だけでα波に切り替わってリラックス効果が認められました。
練習後は心拍数が上がってかなり興奮している状態ですが、瞑想を行って3分経過したあたりから徐々に落ち着き始め、5分後にはリラックスモードになったというものです。
瞑想を数分間行うだけで、落ち着きを取り戻すこともできるのです。
瞑想をする時のポイント
背筋を伸ばして鼻から吸って口から吐く
瞑想をする時は、立って行っても座って行っても背筋が伸びていればどちらでも大丈夫です。
目も開けていても閉じていてもどちらでも大丈夫です。
呼吸するときは、できるだけ鼻から吸って口から吐くことを意識しましょう。
ちなみに、腹式呼吸の方が良いとされていますが、慣れていない場合は胸式呼吸でも問題ありません。
とにかく、ゆっくりと鼻から吸って口から吐くことを心がけてください。
吸う時間よりも吐く時間を長くする
一回の呼吸時間も人によりけりですが、4秒吸って8秒で吐く人もいれば、10秒吸って20秒で吐く人もいます。
私は、7秒吸って1秒息を止めて14秒で吐くということをしています。
知り合いで肺活量がある人は、30秒で吸って1分かけて吐くということをしている人もいます。
ポイントは、吸う時間の2倍時間長く吐くということです。
最初は、4~5秒で吸って10秒くらいで吐くという間隔が良いでしょう。
呼吸などどこかに集中する
瞑想と聞くと、何も考えないイメージを持ちますが、私たちは何も考えないことができません。
何も考えないようにしようとすると、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)といって、ネガティブな想像を脳内で繰り返すことが起きてしまいます。
そのため、どこか1点に集中することを心がけてください。
瞑想で代表的なものに、呼吸瞑想というものがあります。
これは、自分の呼吸(呼吸をする時のカウント)に意識を向けるものです。
他には、体の感覚に意識を向けたり、ロウソクを見ながら行ったり、歩行瞑想といって歩きながら足の裏の感覚に意識を向けたりする方法があります。
この中でも、呼吸瞑想が一番お手軽な方法ですので、呼吸する時のカウントに意識を向けると良いでしょう。
注意を元に戻す
瞑想中に呼吸のカウントを数えていても、時間が経つにつれ、ついつい他事を考えてしまうなど注意散漫になることがあります。
そのような時には、「あっ、いかん、いかん。」と気づいて、再びカウントに集中するよう注意を元に戻しましょう。
その、注意を元に戻すことが良い訓練となり、脳の基礎体力が鍛えられるのです。
たった1回で緊張を和らげる瞑想
10分の瞑想を1回行う
マインドワンダリング(心ここにあらず状態)になっている時など、目の前のことに集中しないといけないのに緊張しすぎて余計なことを考え、注意散漫になっている時にオススメです。
ハーバード大学の研究によると、集中力を発揮したい前にとりあえず10分間瞑想するだけで頭がすっきりし、注意が逸れることを44%防いでくれるということが分かっています。
20分の瞑想を1回行う
全インド医科大学の実験で、32人の男女にガイド付き瞑想(ガイドによる音声誘導を聞きながら行う瞑想)を行い、緊張の度合いを測ったというものがあります。
緊張しやすい作業の前に20分間のガイド付き瞑想を行ったグループは、やらなかったグループに対して本番の緊張に強くなった、又は緊張が和らいだという結果となりました。
もし、テスト前やプレゼン前など、大事な局面で緊張しやすい状態にあって時間がある場合は、20分間の瞑想を行うと良いでしょう。
40分の瞑想を1回行う
ケンタッキー大学の実験では、瞑想をあまりやったことがない初心者を対象に、40分の瞑想を1回行ったところ、集中力が格段に上がったことが分かりました。
この実験では、40分の瞑想、40分の昼寝、40分ボーっとするの3グループに分けて行い、40分の瞑想を行ったグループが一番覚醒しやすく、さらに集中力も高かったのです。
この実験では、集中力を測るテストの前に瞑想を行っていますが、いつもより少し早起きして、通勤前や通学前のまだ頭がボーっとしている状態の時に、40分の瞑想を行うと良いでしょう。
瞑想は、興奮状態を冷ましてくれるため、作業などを行う前だけでなく、作業後の興奮している時にも行うと良いです。
すると、平常心を取り戻すことができます。
できれば軽い運動と共に毎日瞑想する
1回の瞑想だけでも緊張を和らげることが数々の実験で明らかになっていますが、瞑想を習慣化することにより、さらにメンタルが鍛えられて、[なぜ瞑想が良いのか]でお話ししたメリットが得られるようになります。
そして瞑想を習慣化する時に、できれば散歩などの軽い運動を取り入れると、より効果が得られやすくなると言われています。
この方法を、MAPトレーニングといいます。
MAPトレーニングの方法は、例えば瞑想を20分間やったら、その後20分間歩き続けるというように、瞑想後に瞑想と同じ時間だけ軽く体を動かすというものです。
外の散歩が難しい場合は、部屋の中を歩き回ったり、階段を上り下りしたり、トランポリンをしたりしてもOKです。
まとめ
緊張を和らげる一つの方法として、瞑想についてお話ししました。
他には、『不安な時の対処法!心を落ち着かせる段階的筋肉弛緩法のやり方』でお話ししたエクササイズも、緊張を和らげる方法としてお勧めです。
私も、夜寝る前などに行っています。
今回お話しした瞑想は、10分や20分といった比較的長めに行う方法ですが、そんなに長くできないという場合は、5分から始めればOKです。
5秒吸って10秒吐く瞑想を行う場合、これを20回カウントするとだいたい5分経ちます。
(5分×60秒/分÷15秒/回=20回)
私は最初この方法で瞑想を始めました。
今はだいたい、1日10~15分やっています。
20分やろうとすると、首や腰が痛くなってきて集中できなくなってくるので、そうなる手前で終了するといった感じです。
呼吸をする時は、若干上を向く(斜め15度あたり)を向くと良いかもしれません。
まっすぐ向いたままだと次第に頭が下へ垂れていき、首が疲れるのと背中が丸まってきますので注意しましょう。
瞑想を1回行っても緊張を和らげることはできますが、それを習慣化することにより、集中力が増したり感情のコントロールが上手くなったり、様々なアイディアが思い浮かびやすくなったりしますので、あなたが無理なく続けられる方法で、行っていきましょう。
本番で力を発揮する!たった1回で緊張を和らげる瞑想の効力 まとめ
- 脳波がβ波からα波へ移行して興奮状態が収まる
- 脳の基礎体力が上がる
- 瞑想は数分でも構わない
- 背筋を伸ばして鼻から吸って口から吐く
- 吸う時間よりも吐く時間を長くする
- 呼吸などどこかに集中する
- 注意を元に戻す
- 10分の瞑想を1回行う(本番前など)
- 20分の瞑想を1回行う(本番前など)
- 40分の瞑想を1回行う(起床後など)
- 瞑想後に瞑想と同じ時間散歩したりして軽く体を動かすと良い
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28376373
- https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0306453014000584
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