自身がある話し方と頭がいい人の話し方は、どちらが優位になると思いますか。
「えっ、そもそもその2つの違いがよくわからないんですけど…。」
と、あなたは思ったかもしれません。
相手や状況によって話し方を変えた方がいいという、ハーバード・ビジネス・スクールのフランチェスカ・ジーノ教授が行った研究(「イヤなやつほど仕事がデキる なぜルールに従わない人が成功するのか」日本経済新聞出版)があります。
自分の話し方をコントロールすることにより、相手からメリットを引き出せるというものです。
今回は、この研究を元に、自信がある話し方と頭がいい人の話し方の特徴、そしていつどのように使い分けるといいのかについて、お伝えします。
自信がある話し方と頭がいい人の話し方の違い
自信がある話し方とは?
「この人すごい自信ありげに話すなぁ。」
と感じるときは、どんなときでしょうか。
たいていの場合、相手が頑固として意見を変えない時です。
一度言ったことを曲げずに、そのまま突き通そうとする姿を見ると、私達はその人に対して自信があると感じるのです。
頭がいい人の話し方とは?
一方、頭がいい人の話し方は、自信がある話し方とは逆です。
相手の言ったことに対して、柔軟に意見を取り入れたり変えたりすると、頭が良さそうに感じます。
さて、自信がある話し方と頭がいい人の話し方とでは、どちらが良くてどちらが悪いのでしょうか。
それは、相手のタイプや場の状況によって、良し悪しが異なります。
相手によって話し方を変えるべき理由
投資に関する実験
冒頭でお伝えした、フランチェスカ・ジーノ博士の実験の内容をお話します。
この実験では、起業家役と投資家役の2つのグループに分け、さらに起業家役の人たちを次の2つのグループに分けました。
- 様々な情報に惑わされずに、アイディアを突き通そうとするグループ
- ビジネスアイディアを考えた後、様々な意見を取り入れてより良いアイディアを考え出すグループ
投資家役の人たちには、この2つの起業家グループの意見を聞いて、どちらに投資したいかを決めてもらいます。
この実験では、起業家役のどちらのグループがより多くの資金を調達したのかということが目的ではなく、どちらが印象良く見えたかを測るもの。
この結果、どちらにもメリットがあったが使い分けたほうが良いという結論に至りました。
ちなみに、投資家役から見た、起業家グループのそれぞれの印象は次のとおりです。
- 起業家①に対して、知性はなさそうだが、自信がありそうだ
- 起業家②に対して、自信はなさそうに感じたが、機転が利いて柔軟に対応してくれそうだ
相手が熱血系の場合
話し方をどのように使い分けるべきかというと、相手が体育会系や熱血系の場合、自分の意見を変えずに貫き通したほうが信頼されやすいです。
つまり、自信がある話し方をしたほうが良いということ。
実験では、性格が熱血系の投資家たちは、自信がある話し方をした起業家グループに、手を挙げる人が多い結果となりました。
相手がインテリ系の場合
一方相手がインテリ系の場合は、柔軟に意見を変えて広い視野があることを示すと信頼されやすいです。
つまり、頭がいい人の話し方をするということですよね。
実験では、根がインテリ系の投資家、知性が高い投資家は、頭がいい人の話し方をした起業家グループに、手を挙げる人が多い結果となりました。
職業によって使い分ける
相手がどのようなタイプなのかわからない場合は、相手又は自分の職業によって使い分けると良いです。
収入が安定しづらい職業
簡単に言うと、あまり地に足がついていないようなフワフワとした職業です。
例えば、起業家、スピリチュアル、コンサルタント、講演家など。
この場合は、あまり意見を変えることなく、自分の考えを貫き通したほうが良い傾向にあります。
頭の良さが重視される専門職
お硬い職業をイメージするとわかりやすいかと思います。
例えば、弁護士、研究者、公務員、医者などです。
この場合、意見を変えると頭が良いと判断される傾向にあります。
いつまで経っても決断しないと優柔不断と捉えられてしまいますが、柔軟に対応できるような余裕を見せることで、信頼を得ることができます。
やってはいけない話し方
頭がいい人の話し方のように、いくら意見を変えたほうがいいと言っても、相手の意見に流されてばかりいてはいけません。
一貫性は保つべき。
相手の意見に乗るのではなく、相手の意見を取り入れる余裕を持つことが大切です。
特に、あなたが今どうしたいのか、何が好きなのかなど、個人の好みに関してまでブレてしまうと、誰に対しても信頼されなくなってしまいます。
自分の生活や好みの問題については、自分の意見を持ちつつ、それを相手に押し付けることもなく、また相手を批判する必要もなく、逆に相手に従う必要もありません。
一貫性を保ちつつ、柔軟に対応する心意気が大切です。
まとめ
自信がある話し方とは、意見を変えずに貫き通すことで、そう思われる傾向にあります。
一方頭がいい人の話し方とは、色々な意見や情報を取り入れ、柔軟に対応する姿勢を見せることです。
一番やってはいけないことは、自分の意志を示さず、何事にも相手の意見に乗っかろうとすること。
それをやってしまうと、優柔不断と思われて信頼されなくなってしまうので注意しましょう。
なお、今回のお話は、あくまでも目安であり、こうすれば必ずうまく行くというものでは無いことをご理解ください。
ちなみに、役員や上司など、職場内で上に立つ人は、『女性は起業で成功できるのか?実は男性よりも優れている件』でもお話したように、相手の意見を取り入れたほうが、経営状態や職場環境が良くなります。
そちらの記事もあわせてチェックしておきましょう。
相手や自分の立場など、時にはTPOに合わせて話し方を変える必要があります。
しかし、いちいちそんなことしれていられないという場合は、「この部分は譲れない」という断固とした芯を持ちつつも、相手の意見や情報を柔軟に取り入れ、より良い方法を考えることが大切です。
自信がある話し方VS頭がいい人の話し方!どちらが効果的か? まとめ
- 自信がある話し方とは、意見を変えずに貫き通す
- 頭がいい人の話し方とは、色々な意見や情報を取り入れ、柔軟に対応する
- 相手が熱血系の場合は、自信がある話し方をすると良い
- 相手がインテリ系の場合は、頭がいい人の話し方をすると良い
- 収入が安定しづらい職業は、自信がある話し方をすると良い
- 頭の良さが重視される専門職は、頭がいい人の話し方をすると良い
- すべて相手の意見に従ってはいけない
- 一貫性を保つべき
- イヤなやつほど仕事がデキる なぜルールに従わない人が成功するのか/フランチェスカ・ジーノ/2019.4.20/日本経済新聞出版
- https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0749597818300098