闘争逃走反応を利用して痛みに耐える力を向上させる悪態術

闘争逃走反応を利用して痛みに耐える力を向上させる悪態術
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闘争逃走反応(fight or flight response)とは、戦うべきか逃げるべきか立ち竦むかの選択を迫られたときに、体内で起こるストレス反応です。

例えば、突然災害に見舞われる、犬に襲われる、他人との言い争いに巻き込まれる、交通事故に遭うなど、何かしらのトラブルや恐怖体験が自分の身に発生した時に、

「戦おうかな、逃げようかな。」

と、闘争逃走反応が自然に発生するのです。

この反応が起きると、痛みに耐える力が上がることが分かっています。

このことをストレス性無痛状態といいます。

つまり、恐怖やストレスを感じている時に、闘争逃走反応を利用することで、痛みが感じにくくなって我慢強くなるということです。

そんな闘争逃走反応、実は、簡単に引き起こす方法があります。

それが、「悪態術」なんです。

どういうものなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

目次

闘争逃走反応が出た時の体の変化

闘争逃走反応が出た時の体の変化

闘争逃走反応が発生するタイミング

冒頭でお伝えしたとおり、恐怖体験をした時や自分の身に何かしらのトラブルが発生した時に、闘争逃走反応が起きます。

でも実は、それ以外にも発生することが分かっています。

それは、相手に悪態をつかれた時又は自分が悪態をついた時です。

相手にやられた時だけでなく、自分が他人に対して悪態をついた時にも闘争逃走反応が発生することがポイントです。

ちなみに、ここでいう悪態とは、悪口や毒舌、いじり、ブラックジョークなどのことをいいます。

政治家の人たちなどをイメージすると、分かりやすいかもしれません。

過激なことや問題になりそうなことを言うときがありますよね。

それを、相手から言われたり自分が発言したりすると、相手にも自分にも闘争逃走反応が発生します。

その時に体の中で起きていること

闘争逃走反応が発生すると、体内ではアドレナリンが分泌され、心拍数が上昇します。

すると、エネルギーが生まれます。

なんとかして戦わないといけない、又は逃げないといけないという状況になることにより、エネルギーが生まれるのです。

また、アドレナリンが分泌されると、痛みに強くなります。

痛みに強くなるというか、鈍感になると言った方が良いかもしれませんね。

スポーツをやっている時は痛みを感じていなくても、やり終えると体の節々が痛かったり、筋肉痛になっていることに気づくのと同じことです。

ところで、闘争逃走反応が起きると、なぜアドレナリンが分泌されることが分かるのか。

それは、皮膚電気反応という測定をすることによって確かめられます。

皮膚電気反応とは?

体の表面に電極を取り付けて、電気反応を調べるもの。

アドレナリンが分泌されると、心拍数が上昇して発汗するため、体の表面の電気が通りやすくなる。

アドレナリン分泌 ↓ 心拍数上昇 ↓ 発汗 ↓ 電気が通りやすくなる

電極を体の表面に取り付けておき、悪態をついて闘争逃走反応の状態にします。

すると、電気が通りやすくなったため、アドレナリンが分泌されているということが分かったということです。

ストレス性無痛状態になる

ストレス性無痛状態になる

アドレナリンが分泌されると痛みに耐える力が増し、ストレス性無痛状態となります。

それを利用した実験があります。

ブリストル大学やMCLA(マサチューセッツ・カレッジ・オブ・リベラル・アーツ)、イェール大学などの研究チームが行ったものです。

氷水に手をつける実験<part1>

次の2つのグループに分け、氷水に手をつけている時間を計測したもの。

  1. 特に感情が動かないニュートラルな言葉を言いながら手をつけ続ける
  2. 悪口を言いながら手をつけ続ける

この結果、②のグループの方がより長く氷水に手をつけることができた。

また、感じる痛みの度合いも②の方が少なかったことが分かった。

つまり、闘争逃走反応が発生することにより、ストレス性無痛状態となり、肉体的にも精神的にもストレスに対して強くなるということです。

人をコントロールしたい時こそ悪態をつく

人をコントロールしたい時こそ悪態をつく

感情を動かして注目を得る

闘争逃走反応は、痛みに耐えるだけではありません。

人をコントロールすることもできます。

闘争逃走反応が発生するということは、原因となった対象に注目している状態です。

そこで、人に話を聞いてもらいたい時や注目を得たい時は、その反応を利用することができるのです。

悪態をついたりつかれたりすると、強制的に感情が揺さぶられます。

すると、記憶に残りやすくなります。

自分の話を聞いてほしい時、意見に注目してほしい時に、毒舌やブラックジョークを交えながら話をすると、相手の心を動かしてコントロールしやすくなるのです。

チーム全体を強化する

チーム全体を強化する

「人をコントロールする」と聞くと、なんだか悪い感じがしますが、悪態をつくことでチーム全体の強化につながる場合もあります。

悪態をつくと、ついた本人にもつかれた相手にも闘争逃走反応が発生し、大なり小なりストレス性無痛状態となります。

また、アドレナリンが分泌されるので、エネルギーが生まれます。

そうすることで、チーム全体が強化されるのです。

政治家やリーダー、過去の偉人たちが悪態をつくのは、大衆を強化するためでもあります。

自分のチームメイトやフォロワーを強化するために、たまには悪態をつくと良いのです。

順化に気を付ける

ただし、やり過ぎは禁物!

私たちは、環境に適応する能力を持っています。

そのことを「順化」といいます。

悪態をついてばかりいると、そのことに慣れてしまって闘争逃走反応が起きづらくなってしまうのです。

「なんだ、また言ってる。」

などと、「あなたは悪口を言う人」というようなレッテルを貼られてしまうことになりかねません。

そうなると、どんどん人が遠ざかっていきます。

本当に注目してもらいたい時、どうしても人を動かさないといけない時に、悪態を利用しましょう。

アドレナリンが分泌されるゲーム

アドレナリンが分泌するゲーム

エネルギーが生まれたり、ストレス性無痛状態になるためにはアドレナリンが必要です。

逆をいうと、アドレナリンが分泌されるのであれば、悪態をつかなくても何でも良いわけです。

スポーツなどで競い合うことでもアドレナリンは出ますし、ゲームでも出すことができます。

どのようなゲームかというと、バトル系のゲームです。

氷水に手を付ける実験<part2>

次の2つのグループに分けてゲームを行い、その後氷水に手を付けてその時間の長さを測った。

  1. バイオハザードのシューティングゲーム
  2. ゴルフスイングのゲーム

この結果、①のグループの方が、長い間氷水に手を付けることができた。

痛みに耐えたい時は、攻撃性を高めると良いことが分かった。

毒舌やブラックジョークは苦手…という場合は、競技性が高いゲームなどをした後に、会議やディベートに臨むと良いでしょう。

まとめ

闘争逃走反応が起きる流れを、もう一度確認しておきましょう。

悪態をつく

お互いに闘争逃走反応が起きる

アドレナリンが分泌される

エネルギーが生まれる

ストレス性無痛状態となる

何かストレスを感じている時や痛みを感じている時に、ボソボソっと悪口を言うだけでも、痛みを軽減することができるのです。

嫌な人やムカつく人の顔を思い浮かべるだけでも、その効果はあります。

ストレスに耐えながら物事を進める時に、試してみてください。

また、人をコントロールしたい時にも闘争逃走反応を利用できます。

相手の記憶に残したい場合には、相手の感情を動かす必要があります。

なぜなら、私たちはたいていの場合、感情と共に物事を記憶するようにできているからです。

(他には、場所と共に記憶するなどということもあります。)

なので、あなたの意見を聞いてほしい時や話を覚えてほしい時などは、相手の闘争逃走反応を引き起こすと良いのです。

そのために、悪態をつくということ。

悪態をつくといっても、何か乱暴なことをするのではありません。

ちょっとした毒舌やブラックジョーク、いじりなどで意外性を相手に与えることが大事です。

それから、チーム全体を強化することにも、闘争逃走反応が使えましたよね。

悪態をつくと、自分と相手の両方をストレス性無痛状態にすることができるので、自分たちを強化することにも利用できるのです。

ただし、やり過ぎに注意してください。

順化によって効果が薄れてしまうので、闘争逃走反応はここぞという時に活用しましょう。

闘争逃走反応を利用して痛みに耐える力を向上させる悪態術 まとめ

闘争逃走反応が出た時の体の変化

  • 闘争逃走反応が発生するタイミング
    ・恐怖体験やトラブルが発生した時
    ・自分が悪態をついたとき又は相手につかれたとき
  • 体の中で起きていること
    ・アドレナリンが分泌されてエネルギーが生まれる
    ・ストレス性無痛状態となる

ストレス性無痛状態

  • ストレスや痛みが軽減される

人をコントロールしたい時こそ悪態をつく

  • 感情を動かして注目を得る
  • チーム全体を強化する
  • 順化に気を付ける

アドレナリンが分泌されるゲーム

  • バトル系のゲーム

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