カバートアグレッション(又はコバートアグレッション)とは、自己愛性(ナルシスト性)が高い人に見られる特徴の一つで、正体をひそめながら権力を手中に収める機会を虎視眈々と狙っている人のことです。
堂々と面と向かって相手と戦うことはせず、陰口など隠れて攻撃をするという性格を持っています。
例えていうなら、羊の皮をかぶったオオカミとでも言いましょうか。
良い人のふりをして近づき、精神的な攻撃をしてあなたのメンタルを徐々に蝕んできます。
とても恐ろしいですよね。
「そんな人とは付き合いたくないし、見つけたら速攻で縁を切りたい。」と思うかもしれませんが、カバートアグレッションは、あなたのすぐ身近に潜んでいるかもしれませんよ。
親や兄弟、彼氏、彼女、友人、同僚が、実はカバードアグレッションである、という可能性もゼロではありません。
カバートアグレッションは、周りから見ると常識がある人のように見えます。
そのため、以前『地方公務員のやりがいはいかに?!向き・不向きを徹底解説』でお話しした、ハブリスやマキャベリスト、サイコパスとは違って、面倒で嫌な奴とは気づきづらいんですよね。
今回は、そんなあなたのすぐ側にいるかもしれない脅威、カバートアグレッションの特徴についてお伝えしていきます。
なぜカバートアグレッションになるのか
幼少期の時に育った環境が、大きく影響します。
例えば子どもの時に、両親が人の前では良い人を装い、家ではその人の悪口や陰口を言うというような環境で育つと、「そうやると上手くいくんだ。」と勘違いして、子どももカバートアグレッションになってしまいます。
宗教家や政治家、テレビに出ている評論家、説教家、過激な社会運動家などの家庭に育つと、カバートアグレッションになりやすいのです。
(全ての政界、法曹界、宗教界の人たちがカバートアグレッションというわけではありませんので、ご理解ください。)
つまり、既に身近にカバートアグレッションがいて、そのような人たちがいる環境で育つと、その人もカバートアグレッションになりやすいということですよね。
もちろん、子どもの時はカバートアグレッションではなかったのに、大人になるとその性格がにじみ出ることもありますし、天性でカバートアグレッションだった人が、成長の過程でその性格が治ることもあります。
カバートアグレッションの人たちを手本とするか反面教師とするかで、自分自身もカバートアグレッションになるかどうかが決まるのです。
カバートアグレッションの7つの特徴
①勝利のためなら陰に隠れて人を平気で落とし入れる
カバートアグレッションの反対は、オーバートアグレッション。
サイコパスなどはオーバートアグレッションに当たります。
オーバートアグレッションは、目的のためなら手段を選ばず、堂々と攻撃的なことを相手に仕掛けます。
一方、カバートアグレッションはその逆。目的のために隠れてじわじわと精神攻撃をしてくるのです。
オーバートアグレッションは、表立って攻撃してくるので、周りから見ても嫌な奴に思われて対処しやすいのですが、カバートアグレッションは隠れて徐々に精神的な攻撃を仕掛けてくるため、攻撃されていることに気づきづらいんですよね。
そして、気づいた頃には時すでに遅し。相手の手中にはまってしまっているのです。
②自分にとって都合の良い人を利用する
自分が権力を握るために、犠牲を払ってまで言いなりになってくれる人、又は内気で能力が高い人を利用しようとします。
言いなりになってくれる人を利用しやすいことはお分かりいただけると思いますが、内気で能力が高い人を利用するとは、いったいどういうことなのでしょうか。
それは、その人を蹴落として自分がそのポストに就くために利用するのです。
内気な人は、あまり他の人と無駄話をしようとしないので、周りから見ると、人の素性がよく見えず、能力が高いとだけ思われがち。
そこでカバートアグレッションは、「実はあの人は、こんなイヤな一面を持っている。」などというネガティブな情報を周囲に与え、陥れてきます。
内気で能力が高い人は、カバートアグレッションの格好の餌食となってしまうのです。
③権力者などに取り入るのが上手い
カバートアグレッションは、頭がキレて言葉が巧みなため、権力者や成功者など、自分よりも力を持っている人たちに取り入るのが上手いです。
そのため、下手にカバートアグレッションを攻撃することができません。
仮にあなたがカバートアグレッションを攻撃すると、権力者たちがあなたを見捨てたり評判を落としたりするからです。
もし、「知り合いにはこんな権力者や成功者たちがいる。」などと言ってくる人がいたら、要注意。
その人は、カバートアグレッションである可能性が高いといえるでしょう。
④相談に乗るふりをして情報を集める
カバートアグレッションは、常に良い人を装っています。
そして、「何か困っていることはないかい?」などと言って、ターゲットの相談に乗ろうとするんですよね。
そのように、良い人を装って近づき、時間をかけてでも弱みを握ろうとしてきます。
そこで根掘り葉掘り、自分の悩みや問題を話してしまうと、もうそれはカバートアグレッションの思うつぼ。
「そんな人だと思わなかったのに、ひどい。」などと後悔することになってしまいます。
ネックなのは、悪い人ではなく良い人に見えるので、信じ切ってしまうことですよね。
明らかに悪そうな感じであれば、自分の情報を言うことはないでしょうが、良い人そうに見えて、しかも頼れそうな感じがするので、話してしまうのです。
どんなに良い人に見えても、少しは疑って、自分の事を全て話すことはないようにするべきでしょう。
⑤無知を装ってあなたの恥を暴露する
カバートアグレッションは、あなたの情報に少しネガティブな情報をプラスして、皆に言いふらします。
そして極めつけは、「あれ?これって言ってはいけないことだっけ?ごめん、ごめん。」などと、うっかり話をしてくるのです。
しかもわざとらしく、「言ってはいけないことだっけ?」と言って、あたかもそのネガティブな情報が正しいかのように、周りに示します。
めちゃくちゃ厄介ですよね。
ただ、カバートアグレッションに抵抗したくても、情報を聞き出されて弱みを握られているし、完全に間違った情報ではないため、反論しにくいんです。
仮に反論したとしても、相手は無知を装っているため、反論した側が大人げなく見えてしまうのです。
これをやられると、もうどうしようもなくてお手上げ状態になってしまいます。
⑥自分が被害者を装い、あなたに罪を被せる
善意のふりをして余計なお世話をし、「私が悪いのね。ごめんね。」などと言って、罪をあなたに擦り付けてこようとします。
悲劇のヒロインというやつです。
お願いしてもいないお節介なことを勝手にやっておいて、「頼んでもない余計なことをなぜ勝手にやるのか。」などと言うと、「私が悪いので、相手に頭を下げておきます。」などとミスをすんなり認めます。
すると、あなたの中に「必要なかったとはいえ、好意でやってくれたことに対して、怒ってしまった。悪いことしたかな…。」などと罪悪感がのしかかってくるのです。
でもこれは、相手の罠。あなたに罪悪感やストレスを与えるために狙ってやっていることなのですよ。
⑦「皆のため」という言葉をよく使う
自分にとって都合が良いことも、決して「私のために…。」ではなく、「皆のことを考えて…。」や「皆もそう言っているよ。」などと言ってきます。
例えば、あなたが出世するかどうかの場面になったとします。
すると、権力者に取り入るのが上手いカバートアグレッションは、こんなことを上司に言うのです。
<あなたを蹴落とす言い方の例>
確かに、Aさん(あなた)は人望も厚いし良い人だと思います。【←否定せずに良い人を装う】
しかし、今はプロジェクトが成功するかどうかの大事な時期。
ここで体制を変えてしまって、部長の評判が下がってキャリアに影響が出るよりは、【←部長に罪を被せる】今の地位を確保しつつ、プロジェクトを成功させることに全力を注いだ方が、部長にとっても皆にとっても都合が良いですし、組織ももっと良くなると思うんですよ。【←自分の都合を隠して皆の利点を挙げる】
そしたら、Aさんだって貢献できたことに喜んでくれるのではないでしょうか。【←あなたを静かに蹴落とす】
この例から分かるように、自分の話は一切口にせず、皆に取ってその方が良いということを主張してきます。
一番都合が良いのは、カバートアグレッション本人なんですけどね。
やってはいけない対処法
逆ギレする
カバートアグレッションが仕掛けてきたことに対して、キレ返してはいけません。
カバートアグレッションには、周りを同情させる力があり、しかも良い人そうに見えるので、そこであなたが逆ギレしてしまうと、あなたが顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまうのです。
穏やかに反論するならまだしも、大声をあげてキレると、周りはあなたのことを器の小さい人だと思ってしまうので、注意しましょう。
その場を立ち去る
「うわっ、またイヤなこと言うやつが来た。」と思って、その場を立ち去ってしまうと、もうカバートアグレッションのやりたい放題です。
あなたの評判を下げるために、最大限の努力をしようとするんですよね。
しかも、直接あなたの悪口を言うのではなく、「彼といない方が皆の身のためだよ。」などと、その場にいる人たちが得しそうな感じで言ってきます。
一番得するのはカバートアグレッションなのに、自分の事は口に出さないのです。
もしこれが、カバートアグレッションではなくオーバートアグレッションであれば、立ち去った方が良いです。
オーバートアグレッションは、周りから見ても嫌な奴なので、彼・彼女の言うことは誰も聞こうとしません。
しかしカバートアグレッションの場合、周りからは堅実そうに見えているので、そこであなたが立ち去ってしまうと、あなたのあることないことを言いふらし、あなたの悪い印象が広まってしまうのです。
カバートアグレッションへの対処法
警戒する以外の対処法がない
まさに悲報…。カバートアグレッションは、周りから見ると良い人に見えるし、その上弱みを握られているから、反論も逃げることもできないんです。
カバートアグレッションの術中にハマる前に、以下の点に注意する必要があります。
警戒1:良い人のふりをしていないか
親切そうで堅実そうに見えても、心を全て許すことはしない方が良いです。
カバートアグレッションは、あなたの弱みを握るために情報を聞き出そうとしてくるので、ここまでは話してもいいけど、これ以上は話してはいけないというように、あなたの情報を線引きする必要があります。
もし、相談などと言って言い寄ってきたら、なぜ相談に乗ろうとしているのか、何か目論んでいないかを探るべきでしょう。
警戒2:狙った獲物をどう支配しようとしているか
狙った獲物をどうやって支配し、コントロールしようとしているか、その手口を探ります。
そして、カバートアグレッションの行動を予測するのです。
彼らには、何か勝つための目的があるので、それを考えて行動を予測することで、被害を軽減できます。
警戒3:あなたの不安や恐怖を認識する
カバートアグレッションは、あなたの弱みを握ろうとしてくるので、自分自身の弱点を知る必要があります。
そのためには、今あなたが抱いている不安や恐怖を紙に書き出して認識するのです。
そうすれば、カバートアグレッションが相談に乗ってきても、弱点となる情報を言わずに済むことでしょう。
警戒4:自分が変えるべき点は何かを考える
自分をどう変えれば、付け入るスキを軽減できるか考えて改善します。
ただ、相手から攻撃されないための方法ばかり考えてしまうと、相手があなたの生活の中心人物になってしまうため、自分が成長するために改善すべき点は何か、自分が得意とすることでもっと伸ばしたいことは何か、などを考えると良いでしょう。
普段から不完全であることを示す
ある意味、開き直りです。
人間には完璧な人は存在しないので、自分もその一人だということを、普段から皆に示しておきます。
カバートアグレッションが攻撃したときに反論すると、余計彼らは調子に乗って攻撃してくるので、そうならなためにも、開き直りは大事です。
不自然にならない程度に、堂々と「自分は不完全な人間で裏表があり、当たり前のようにエコひいきする、だって人間だから仕方ないでしょ。」というようなことを話しておくと良いでしょう。
まとめ
カバートアグレッションの厄介なところは、隠れて攻撃してくるところですが、それ以上に、全員に対して攻撃しないので、やり返したり突っぱねたりすることがしづらいんです。
サイコパスのようなオーバートアグレッションの人たちであれば、全員に対して堂々と攻撃してくるので、周りも嫌な奴と認めてくれます。
しかし、カバートアグレッションは、周りから見ると堅実そうに見えるし、悲劇のヒロインで同情を誘うのが上手いので、私たちが周りを味方につけることが難しいんですよね。
どちらかというと、周りの人はカバートアグレッションの肩を持ってしまいます。
嫌みや嫉妬、誹謗中傷を言われたりなど、攻撃の対象になるのは、たいてい内向的で能力が高い人。
攻撃されるということは、あなたの能力が高い証拠でもあるのですが、蹴落とされるのは避けたいところですよね。
カバートアグレッションの標的にならないためにも、常日頃から良い人を装っていないかなど、あなたに近寄ってくる人を観察する必要があります。
また、自分自身の弱点は何かなどを知っておくと、彼らに弱みを握られずに済むでしょう。
彼らの思い通りに支配されないためにも、親しくなる前に対策をしておくことが大切ですよね。
あなたを支配するカバートアグレッション、身近に迫る脅威 まとめ
- 幼少期の時に育った環境が大きく影響する
- 周りにカバートアグレッションがいると、自分もカバートアグレッションになりやすい
- 勝利のためなら陰に隠れて人を平気で落とし入れる
- 自分にとって都合の良い人を利用する
- 権力者などに取り入るのが上手い
- 相談に乗るふりをして情報を集める
- 無知を装ってあなたの恥を暴露する
- 自分が被害者を装い、あなたに罪を被せる
- 「皆のため」という言葉をよく使う
- 逆ギレする
- その場を立ち去る
- 警戒する以外の対処法がない
警戒1:良い人のふりをしていないか
警戒2:狙った獲物をどう支配しようとしているか
警戒3:あなたの不安や恐怖を認識する
警戒4:自分が変えるべき点は何かを考える
- 普段から不完全であることを示す
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