面倒くさくて気乗りしないから後回しでいいや、などと思うことってありませんか。
面倒くさいと思うことは、誰もが持っている気持ちではありますが、面倒くさいからやらずに先延ばししてしまうとパニックに陥って、最悪の場合、寿命を削ることにもなってしまいます。
面倒くさいと思うのは、基本的に私たちの脳が怠けるようにできているからなのですが、面倒くさいという心理を克服しないことには、目の前の問題が山積みになっていくだけなのです。
先延ばしせずにやるべきことを片付けていき、自分に自信をつけて、ほぼストレスなく人生を充実させるためにも、面倒くさいを克服したいところですよね。
今回は、なぜ面倒くさいと思ってしまうのか、さらには面倒くさいを放っておくとヤバい問題、そして面倒くさいを克服する方法について、順にお伝えしていきます。
なぜ面倒くさいという気持ちになるのか
理由1:脳は変化を嫌う
脳には、変化を嫌うという特性があります。
脳にとって最も重要なのは、生命を維持し続けることなので、脳は、不安や危険、変化というものを嫌い、その代わり、安全や安心、安定を求める傾向にあるのです。
このような特性を、「恒常性維持機能」(ホメオスタシス)といいますが、恒常性維持機能が正常に備わっているがゆえに、なかなか面倒くさいを克服できないと言えるでしょう。
理由2:良いことよりも悪いことに意識が向きやすい
「否定的偏向」(ネガティブ・バイアス)といって、私たちが何か行動を起こそうとしたとき、脳は、良いことよりも悪いことを想像してしまいます。
なぜかというと、原始時代に遡ると分かるのですが、私たちの祖先は、いつどこで猛獣に襲われるか分からない環境下で生き延びる必要があり、常に最悪の事態を想定しながら行動しなければならなかったからです。
目の前に猛獣がいるのに、「大丈夫、全然平気。」といって、楽観的な考え方で生きていたら、今頃人類は絶滅していますよね。
その結果、心配性になる癖を身に付けてしまったのですが、現代社会では、面倒くさいを克服できなくなる悪い習性となってしまっているのです。
理由3:別のことに気を取られる環境にいる
四六時中SNSを確認したり、少しだけのつもりがいつの間にか1時間もスマホゲームをしてしまうなど、常にスマホを触ってしまう癖がついていませんか。
私たちは、今やるべきことよりも、目の前の快楽に手を出しやすい習性をもっています。
タスクに取り組んでいて、ほんの少しだけSNSを確認したり、YouTubeを見たりするなど、やるべきこととは別のことに気を取られると、そこで集中力が途切れて、先延ばししてしまう癖が身に付いてしまうのです。
しかも、その状態では、マルチタスクになっていて、脳の作業効率が低下してしまうので、ますますやる気が無くなってしまいます。
理由4:自信がなく不安が邪魔をする
何かタスクに取り組もうとしたとき、私たちは「それは達成できるものなのだろうか。」と、無意識に考えます。
そして、「自分にならできる」という自己効力感があれば、タスクに取り組むことができるのですが、「いや、自分には無理…」と不安を感じてしまうと、その状況から逃避したいという心理が働き、面倒くさいを克服できなくなってしまうのです。
自分にはできないと思っていることでも、実際やってみるとできることの方が多いので、やる前から不安になって手を付けないと損してしまうことが分かりますよね。
理由5:今やる価値を見出せない
明日できることは今日やらなくてもいいなどと、すぐにやる理由がないと、「まぁ後回しでいいや。」という心理が働いてしまいます。
しかし、後回しにするとタスクが増えていくのは実感できるため、ますます面倒くさいと思ってしまうことでしょう。
ちなみに、「自分にしかできないもの」の場合は、すぐにやる理由の有無に関係なく、集中して取り組むことができます。
つまり、あなたにとってのタスクの必要性や、やらなければいけない理由が、「今やるべきなのか、後回しでも大丈夫なのか」に大きく影響しているということですよね。
面倒くさいを放っておくとヤバい問題
先延ばしグセがつく
面倒くさいと思って先延ばしにすると、先延ばしすることが慢性的になってタスクが溜まっていき、さらに面倒くさい状況を引き起こしてしまいます。
しかも、先延ばしグセの強い人は、将来的な貧困や経済不安、さらに健康のリスクまで伴ってきます。
「今はまだ大丈夫だから、遊んじゃおう。」を繰り返しているうちに、八方塞がりの状態になってしまい、面倒くさいを克服できなくなってしまうのです。
時間とお金を無駄に浪費する
アメリカのインターネットサービス会社が、1万人以上の労働者を対象に労働時間に対する調査を行ったところ、1日8時間労働のうち、約2時間は先延ばしによって時間を無駄にしていることが分かりました。
この2時間には、昼休憩などは含まれておらず、実質4分の1ほどの時間を無駄にしているということになります。
1年間で計算すると約20日の無駄、お金に換算すると約106万円も損をしていることになるのです。
面倒くさいを克服できずに106万円を失うのは、かなり痛いですよね。
成功する確率が50%も減る
面倒くさいことを克服できずに先延ばしにする癖を持っている人は、仕事で成功する確率が50%以下になると、ピアーズ・スティール教授(カナダのカルガリー大学)は指摘しています。
これは何となくイメージできると思いますが、すぐやる人に比べ、面倒くさいことを後回しにする人の方が評価が低いということですよね。
しかも、その先延ばしグセは、周囲にも伝染するので、結果として組織全体の成功する確率も下がってしまうのです。
集中力が低下する
私たちの脳のワーキングメモリ(作業記憶)の数が決められており、その数は3つ、多い人で5つです。
つまり、ワーキングメモリ以上のタスクを同時にこなそうとすると、頭が混乱してしまって、集中力の低下を招いてしまうということ。
スマホをいじることが癖になっていたり、目の前のタスクよりも休憩や娯楽のことを考えてしまっていると、それだけでワーキングメモリが満杯になり、頭がテンパってしまうのです。
すると、タスクが溜まっていく一方なので、ますます面倒くさい状況を引き起こしてしまうことが、想像できますよね。
ストレスが増えて死のリスクが高まる
面倒くさいことを克服できずにいると、ストレスが溜まっていき、体にダメージを与えることが、医学的に分かっています。
どういうことかというと、私たちの脳には、感情を司る扁桃体があるのですが、ストレスにさらされると、扁桃体がパニックを起こします。
このパニック状態を抑えようと、コルチゾールというホルモンが分泌されるのですが、コルチゾールが長期間に渡って分泌され続けると、動悸などを引き起こし、心臓に負担がかかってしまうのですよ。
面倒くさいを克服するということは、あなたの健康、強いては命を守る習慣でもあると言えるでしょう。
面倒くさいを克服する9つの習慣
①環境を整える
面倒くさいという心理が働く条件は、人それぞれ違いますが、共通している部分もあります。
それは、人は「身の回りの環境に左右されやすい」というものです。
タスクの種類や人格よりも、あなたが身を置く環境そのものが、面倒くさいという心理を引き起こしているケースが多いのですよ。
そのため、気が散ってしまうものを視界に置かないなどの、タスクをこなす環境を整えると良いでしょう。
例えば、スマホは机や鞄の中にしまう、仕事部屋にテレビを置かない、仕事終わりにデスクを整理整頓するなど、誘惑の元となるものを絶つのです。
そのように、「環境をミニマル化」することにより、面倒くさいを克服してタスクをこなすことができるようになります。
②調子が出る時間帯に集中して取り組む
人それぞれ、ゴールデンタイムを持っており、調子が出る時間があります。
そのゴールデンタイムにタスクを行うと、通常の倍以上の集中力を発揮して効率よくタスクをこなすこともできるのです。
ただ、その時間帯は人により異なるため、あなたが朝型なのか、昼型か、夜型かを探ってみる必要があります。
人は、一日に集中できる時間は、合計約5時間ですので、例えば朝の3時間と夕方の2時間は集中して取り組むなど、調子が出る時間帯に、時間配分を決めて取り組むと、面倒くさいと思うことが減っていくことでしょう。
③やる、やらないの2択でタスクを決める
「やる」か「やらない」かの2択ということは、「後回しにする」という選択肢がないということ。
私たちは、やるべきことに対して、1割すぐにやる、1割やらない、そしてなんと8割後回しにするという傾向があるのです。
前述してきたとおり、この後回しにする癖が面倒くさいことを克服できない心理でもありますので、この後回しにするという選択肢を無くしてしまいます。
つまり、今やるか、一生やらないかのどちらかということになりますよね。
やらなくてもいいことを無理にやる必要はありませんので、必要のないと思うことは、思い切ってやらないと決め、1割のやるべきことだけに集中すれば、脳への負担も軽くなって、決断力が上がることにもつながるのです。
④目標やタスクを細かくする
「やるべきことに集中した方が良いことは分かったけど、やらないことにより問題が発生したらどうしよう。」と思いますよね。
でも大丈夫です。
アメリカのミシガン大学の研究から、心配事の8割は起きないことが分かっています。
残りの2割も、事前に対策が取れることが多く、対策できないものは、実際に事が起こらないと対処できないものばかりなのです。
もし、心配で行動ができないということであれば、やるべきことを細分化して、小さなことから達成していくと良いですよ。
大きなことを一度にやってしまおうと思うから、面倒くさいと思ってしまうので、今すぐに達成できることからやっていきます。
例えば、紙と鉛筆を用意して、次に資料を持ってきて、次にパソコンを開いて、次に資料の何ページを紙にメモして…など、細かいことを一つひとつクリアしていくことで、面倒くさい心理を克服することができるでしょう。
⑤ひとまず5分間だけやってみる
私たちは、最初に手を動かすことに、ものすごく高い壁を感じて面倒くさいと思ってしまいます。
しかし、最初の5分間だけやる、と決めると、自然とその後も続くもの。
この時に、最初の5分間だけやってその後はやらないと決めてから、タスクに取りかかるのです。
すると、5分経過しても今度はやめたくなくなる心理が働くようになります。
例えば、5分間だけYouTubeを見よう、スマホゲームをしよう、SNSを確認しようと思っても、いつの間にか2時間、3時間経っている経験ってありますよね。
それは、タスクに取り組むのにも当てはまることなのです。
何事も、面倒くさいと思うのは最初の5分間だけ。その後は、エンジンがかかって一気にスピードに乗ることができるのですよ。
⑥無理なくパターン化できることを取り入れる
これは、状況と行動をリンクさせるということです。
例えば、朝起きたら水を飲む、冷蔵庫を開けたら英単語を10個確認する、お風呂からかがったら読書するなど、「○○だったら、○○をする」というように、状況と行動を結び付けると、面倒くさいを克服することができます。
もし、何をやるにしても、どうしても面倒くさいと思うのであれば、面倒くさいと思ったら5回深呼吸するというルールを決めるのも、面倒くさいを克服する一つの手ですよね。
そのように、状況と行動をリンクして自動化させてしまえば、あれこれ考える必要がなくなるので、先延ばしを回避することができるでしょう。
⑦完璧主義ではなく完了主義になる
一般的に、完璧主義な人ほど、面倒くさいと思う傾向にあります。
なぜかというと、自分に課した達成基準が高すぎて、それに届かない結果になるのが怖くて手が出せない、という状況に陥るからです。
それでは結局、少しもタスクをこなすことができなくなり、ゼロの状態で何も生み出すことができません。
そうであれば、中途半端でもいいから、タスクを完了した方が、生産性が上がることが分かりますよね。
8割でも良いから、タスクを完了することを目指すのです。
何も手を付けない完璧主義者よりも、少しでも作業を終わらせようとする完了主義者の方が、はるかに生産性があります。
⑧アメとムチをルール化する
やったらご褒美をあげるというものですが、これを専門的に「誘因バンドル」とも言います。
物で釣ることはあまりよくないという研究結果もありますが、達成感を得るためや息抜きのために、タスクをこなした後の自分にご褒美を与えることも大切なのです。
逆に、やらなかったときのペナルティも用意しておくと、2倍もの効果が得られます。
なぜなら、私たちはポジティブなエネルギーよりも、ネガティブなエネルギーの方が2倍も強く働くことが分かっているからです。
例えば、「今日中にタスクを10個終わらせたら10万円もらえます」と言われるよりも、「今日中にタスクが終わらなかったら、5万円没収します」と言われた方が、危機感を感じて2倍ものやる気を発揮するのです。
ペナルティばかり設けてしまうと心身ともに疲れてしまうので、ペナルティを設ける代わりにご褒美も用意すると、面倒くさい心理を克服できるでしょう。
⑨一日の行動を振り返る
一日の行動を振り返ることは、あなたの先延ばしの傾向を自覚するとともに、実は失敗したと思っていたことが、あなたの理想に近づいているということを発見することに大いに役立ちます。
「失敗したな」と思っただけでは次につなげることは難しいですが、「失敗したけど前進しているな」と感じられたのであれば、次も挑戦しようと、先延ばしを回避することができるのです。
一日を振り返るためには、ただ単に思い浮かべるだけでなく、紙に書くとより効果的。
日記のように、毎晩つけても良いですよね。
まとめ
私たちは、防衛反応として面倒くさいと思う心理が働くのですが、現代社会では、原始時代のような命を脅かすほどの危険はかなり少ないので、面倒くさいという心理が、逆に成長の邪魔になってしまっていますよね。
「はぁ、面倒くさい…。やりたくないな、サボろっと。」と、私は一日に何回も思ってしまいます。
私もなかなか、面倒くさいを克服できないのですが、それでもやらないと生きていけない状況のため、少しだけでも進めようとタスクをこなしているといった感じです。
しかも、完璧主義な傾向にあるため、完了主義って大事だよなぁと、ものすごく実感することでもあります。
今、特に大切にしていることは、朝起きてからすぐに仕事に取り組めるように、仕事が終わった後は、机の上をスッキリさせること。
仕事をしている時には、書籍や資料を調べたりしながら行っているので、机の上はぐちゃぐちゃしてしまいますが、仕事をやり始める時に、既にぐちゃぐちゃの状態だと、モチベーションが下がって、さらに面倒くさいと思ってしまうんですよね。
私たちは、身の回りの環境にかなり影響を受けるため、仕事をやり始める前と、やり終わった後の机の上は、整理整頓するなど、環境を整えることはとても大切ですよ。
もし、面倒くさいを克服できずに先延ばしグセがついてしまっていると、お金も時間も健康も浪費してしまいますし、出会いも遠ざかっていってしまいます。
そうならないためにも、あなたも、今回お伝えした内容を、一つでも良いので、取り組んでみてくださいね。
先延ばしは寿命を削る!面倒くさいを克服する9つの習慣 まとめ
- 理由1:脳は変化を嫌う
- 理由2:良いことよりも悪いことに意識が向きやすい
- 理由3:別のことに気を取られる環境にいる
- 理由4:自信がなく不安が邪魔をする
- 理由5:今やる価値を見出せない
- 先延ばしグセがつく
- 時間とお金を無駄に浪費する
- 成功する確率が50%も減る
- 集中力が低下する
- ストレスが増えて死のリスクが高まる
- 環境を整える
- 調子が出る時間帯に集中して取り組む
- やる、やらないの2択でタスクを決める
- 目標やタスクを細かくする
- ひとまず5分間だけやってみる
- 無理なくパターン化できることを取り入れる
- 完璧主義ではなく完了主義になる
- アメとムチをルール化する
- 一日の行動を振り返る
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