目標を決めて、「さぁ、やるぞ!」と意気込んだはいいけれど、いざやり始めると急激にやる気がなくなることってありませんか。
私はよくあります。
新しいことに挑戦し始めた序盤はモチベーションが高まっても、その後ストンとやる気がなくなるのです。
この原因は、科学的にはっきりと分かっていて、簡単にいうと「目を向ける方向が間違っている」というもの。
「ん?どういうこと?」と思うかもしれませんが、順を追って説明していくのでご安心ください。
今回は、そんな急にやる気がなくなる原因とその対処法についてお伝えします。
報酬が目標達成の要?!
見返りを求めると失敗する
「報酬が高いとその分やる気も出て目標が達成されるのでは?」
と、普通はそう思いますよね。
でも実は、報酬などの見返りだけを求めてしまうと、長続きせずに挫折することになります。
このことは、ロンドン大学のクイーン・メアリー校の実験で明らかになっています。
被験者159人に対して、次の2つのうち、どちらかを選んで作業してもらうよう指示した。
- 体力を使う作業
- 頭を使う作業
選ぶ際に、より努力が必要な作業、大変な作業を選んで最後までやり遂げた人には、褒賞金を渡すことを約束した。
この結果、全員が褒賞金を得られる方を選んだにもかかわらず、途中で努力を止め、達成者が一人も出ない結果となった。
大金をもらうためという明確な目標があるにもかかわらず、皆途中でフェードアウトしてしまうこととなりました。
つまり、見返りが期待できる仕事ほど努力の量が増える…と思いきや、報酬目当てだと長続きしないということです。
目標の大小も関係ない
それでは、報酬の量を下げたら達成できるようになるかというと、残念ながらそれも違いました。
作業量に比べて、報酬を高くした場合も同じにした場合も、皆途中でやる気がなくなってしまうのです。
高すぎる目標も比較的達成可能な目標も、モチベーションを維持することにはつながらず、やる気は報酬の量によって引き出されるものではないということが分かりました。
報酬から努力への焦点移動
なぜ、作業をする前にはモチベーションが高まっていたのに、作業をし出すと次第にやる気がなくなるのか。
それは、作業する前は理想の成果しか見えていないのでやる気が上がっているが、いざ始めてみると現実的な作業に視点が切り替わってやる気がなくなるからです。
このことを、「報酬から努力への焦点移動」といいます。
つまり、やり始める前は目標や成果の方に目を向きすぎており、実際に始めると努力量に目を向きすぎるという、この焦点移動の落差によってモチベーションが下がってしまうのです。
やる気を維持する方法
目標設定時に作業量も考える
では、高めたモチベーションを維持するためにはどうするべきかというと、まず一つは、目標設定時にどれくらいの作業や努力が必要で、起こり得る障害は何かなども一緒に考えることです。
例えば、英語の学習を行うとします。
その時に、次の例のとおり、目標からやるべき作業を計算して再度目標設定をすると良いでしょう。
目標設定:半年間で日常会話レベルに話せるようになりたい
↓
それを達成するためには、1日5時間勉強しないといけないな
↓
果たして、今の自分にそれができるだろうか
↓
ちょっと無理があるので、1日2時間で週に5日間の勉強が丁度いいだろう
↓
すると、半年間で片言の英語が話せられるよう目標を修正しよう
このように、一度目標を設定した後に努力量を視野に入れ、達成するための丁度いい目標はどれくらいかを再度計算し直すことが大切です。
時々理想の成果を思い出す
計画を実行していくうちに、やるべきことばかりに視点が切り替わって、当初の目標を忘れてしまい、挫折することがあります。
例えば、「腹筋を割るぞ!」と意気込んだはいいものの、いざ始めてみると、仕事終わりで疲れているのに運動しないといけない、甘いものを食べたいのに食事制限しないといけない…などと、現実的なことばかりで成果を見られなくなってしまうことも挫折の原因です。
そのため、モチベーションを維持するための2つ目の大事なことは、時々理想の成果を思い出すことです。
もし、「最近やる気がなくなってきたな。」と感じてきたら、当初思い描いていた理想の成果は何だったかを思い出してみましょう。
3つのフェーズに分けて成果を手に入れる
フェーズ1:現実的な目標設定
理想の目標を考えることは大事です。
でも、それだけだと途中で挫折してしまうことになるので、『目標設定時に作業量も考える』でお話ししたように、目標を考えると同時に作業量も考え、さらに実現可能な目標に再度計算し直します。
現実的な目標を考えてモチベーションを高めることが、第一段階です。
フェーズ2:得られる成果を時折思い出す
作業をし始めると、時が経つにつれてだんだんとやる気がなくなってきます。
「最近調子出ないな、モチベーションが湧かないな。」と感じてきたら、当初掲げた目標は何だったかを思い出しましょう。
報酬を思い出してモチベーションを高めることが、第二段階です。
フェーズ3:自動的に習慣化される
目標が達成されない最大の原因は、作業を継続できないから。
毎日、歯磨きをしたり体を洗ったりするのと同じように、やる気の有無にかかわらず習慣化されることが大切です。
フェーズ2で、時々成果を思い出して努力することを続けて行けば、無理に努力したり考えたりしなくても、いつの間にか習慣化されるようになります。
「なんかやらないと落ち着かないな、気持ち悪いな。」と思うようになれば、それは習慣化された証拠。
習慣化されれば、自ずと目標が達成されるのです。
まとめ
やる気がなくなって目標が達成されない原因は、「報酬から努力への焦点移動」により作業が続かなくなるからです。
それを回避するために、
- フェーズ1
現実的な目標を考えてモチベーションを高める - フェーズ2
やる気がなくなってきたら報酬を思い出してモチベーションを上げる - フェーズ3
習慣化して自動的に目標が達成される
というように、三段階に分けて考えることが大切です。
一般的に、やる気が上がっている時は、将来的な理想にしか目が向いておらず、森しか見えていない状態です。
一方、いざやりだすと急に作業の方に目が向き、木しか見ることができなくなってしまいます。
それを防ぐために、作業が習慣化されるまでの間は、時々成果を思い出してモチベーションを高める必要があります。
やる気が感じられない日が続いているのであれば、目標を設定し直して時々その成果を思い出し、そしてその作業を歯磨きのように無意識に継続できるレベルにするということを大切にしましょう。
やる気がなくなるのはなぜ?確実に成果を手に入れる3ステップ まとめ
- 見返りを求めると失敗する
- 目標の大小も関係ない
- 理想と現実の落差によりやる気がなくなる
- 目標設定時に作業量も考える
- 時々理想の成果を思い出す
- フェーズ1:現実的な目標設定
- フェーズ2:得られる成果を時折思い出す
- フェーズ3:自動的に習慣化される
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