連鎖的挫折とは、一度挫折すると色々なことに挫折しやすくなることを指します。
例えば、午前中にこれをやろうと決めていたことができず、「もういいや」と午後もグダグダになることってありませんか。
このことを、心理学ではWTH効果(The What The Hell Effect/どうにでもなれ効果)といいます。
ここでは、WTH効果のことを連鎖的挫折と呼ぶことにしますが、連鎖的挫折は望んでいない未来を引き寄せてしまうのでとても危険です。
そこで今回は、バージニア工科大学などの研究を参考に、連鎖的挫折の原因と対処法などについてお伝えします。
連鎖的挫折がヤバい理由
挫折しやすい人は、色々なことに挫折するようになります。
むしろ、一つのことだけに挫折するほうが珍しいです。
例えば、健康のために朝起きてから軽く筋トレをしてから出勤するとします。
しかしこの日は寝坊して、筋トレすることができませんでした。
すると、たいていの人は「もういいや」と自暴自棄になってしまいますよね。
あなたもきっと、一日のモチベーションが下がってしまうのではないでしょうか。
そして今度は、昼食に健康に反するジャンクフードを食べたり、今日できる仕事を明日に延ばしたりと、挫折が連鎖的に広がってしまうんです。
最もヤバいのが、挫折が一つのジャンルではなく色々なジャンルに広がってしまうということ。
プライベートの何かで挫折するとそれが仕事にも影響が出ることもあれば、その逆もまた然り。
このように、一日の意志力を低下させたり、自己コントロール力を失ったりすることが、連鎖的挫折がヤバい所以です。
連鎖的挫折が起きる原因
挫折とは、私達の心が折れる、つまり心理的にダメージを受けることですので、心理に目を向けることで、連鎖的挫折の原因がわかります。
例えば、街中の建物の窓が割れていると犯罪率が上がるという研究があります。
このことを、割れ窓理論といいます。
道端にゴミが落ちていると、その周辺にどんどん不法投棄が増えていくのと同じことです。
本当はやってはいけないとわかっているのに、「まぁいいや」と自己コントロール力を失ってしまう。
連鎖的挫折も割れ窓理論と同じで、何か自分の中のルールや規則などの整っていないといけないものが壊れると、そこから自己コントロールが崩れ落ち、挫折を繰り返すことに慣れてしまうのです。
連鎖的挫折が起こる2つの要因
何かをやめようとしている時
連鎖的挫折は物事の程度や度合いではなく、やるかやらないかの事象で起こりやすいことがわかっています。
その要因は主に2つで、その一つが、何かをやめようとしている時。
例えば、健康のために間食はしないと決めていたのに、ついつい一口お菓子を食べてしまったとします。
長期的に考えれば、間食してしまったのであれば、その分少し体を動かしたり、夜の食事を少し制限したりすれば、プラスマイナスゼロかプラスにできることができるはずです。
しかし多くの人は、間食しないというルールを破ったことにより、「もうどうでもいいや」と自暴自棄になって、その後の行動がナアナアになってしまうのです。
良くない習慣をやめることは大切ですが、これはやらないと決めていたことをほんの少しでもした場合、そこにフォーカスしてしまってモチベーションが下がり、連鎖的挫折が発生してしまうのです。
短期的な目標に挑んでいる時
先程の例でいうと、3ヶ月や半年といった長期的に健康のことを考えれば、1回の間食はさほど問題ないはずですよね。
間食した分のカロリーを、どこかのタイミングで余分に消費すれば良いんですから。
しかしこれが、今日一日でという感じで、短期的に考えてしまうと、「あーあ、自分で決めたことができなかったからもういいや」とWTH効果が発動してしまうのです。
連鎖的挫折を防ぐ3つの対処法
「やめる目標」を「やる目標」に変える
私達は、今まで当たり前にしてきた習慣を、突然やめることはなかなかできません。
そのため、「これをやめる」と決めていたとしても、どこかのタイミングでやってしまうことがあります。
先程の例を挙げると、間食がまさにそうですよね。
間食をやめると決めたのに、どこかのタイミングで間食をしてしまうと、目標達成ならずで挫折することになります。
この場合、間食しないではなく、運動量を増やすや摂取カロリーを減らすなどと、「やめる目標」から「やる目標」に変えると、連鎖的挫折を防ぐことができるんです。
たとえ間食してしまったとしても、その分運動すればチャラになりますし、運動が難しければ昼や夜のご飯の量を減らせばOKなどと、自分との約束を破った時のカバーを考えておくと良いでしょう。
短期目標を長期目標に変える
今日は間食をしないなどと、短期的に目標を持つと失敗して挫折しやすくなります。
そのため、1週間のうちで間食を8割減らすというように、少し長い期間で目標を決めることによって、連鎖的挫折を減らすことがでます。
失敗から目を背けない
ほとんどの人は、失敗を記録することに抵抗や不安を感じます。
しかし、失敗した回数や立ち直った回数を記録することが、連鎖的挫折を断ち切るために一番有効であることが、バージニア工科大学などの研究でわかっています。
挫折や失敗は誰にでもあることですが、それ以上に上がることに意識を向けることが大切。
そのようにリカバリーした記憶がモチベーションとなり、連鎖的挫折を回避してくれるのです。
短期的な目標で気をつけるべきたった1つのこと
連鎖的挫折の対処法で、短期的ではなく長期的な目標を作ることが大事とお伝えしましたが、そうは言っても、短期的な目標を掲げる必要も出てきますよね。
その場合、1つではなく2〜3個の複数の目標を作って、挫折のリスクを分散させると良いです。
例えば健康面で、間食しないという目標を作ったとします。
間食しないということは、カロリーを制限するあるいは消費すると考えることもできるので、その目標にプラスして、夜はサラダとチキンのみや普段より10分多く歩くなどと別の短期目標も立てます。
そして、
- 間食しない
- 夜はサラダとチキンのみ
- 10分多く歩く
の3つのうち、1つでも達成できればOKという目標を立てると、連鎖的挫折を防ぐことができます。
このように、短期目標を設定する場合、似たような目標を複数作っておき、どれか1つ以上達成するというルールにしておくと、挫折を回避することができるのです。
まとめ
できるだけ早い段階で挫折を断ち切ろうとしないと、挫折が挫折を呼んでグダグダになり、しかもプライベートや仕事などジャンルに関係なく波及するので危険です。
一つの挫折でやめるか、その後の連鎖的挫折が続いてしまうかは、将来のリスクを考えられるかどうかで決まります。
自己コントロール力や意志力を失うと、正しい判断ができなくなってしまうので、連鎖的挫折を防ぐ方法を取ることは大切です。
その中で最も大事なのは、失敗から目を背けないこと。
一度うまく行かなかったからもうダメだではなく、同じ失敗をしないようにどう挽回するかを考えます。
失敗を取り戻そうとすることで、連鎖的挫折を防ぐことができるのです。
【WTH効果】連鎖的挫折が発生する原因と3つの対処法 まとめ
- 自暴自棄になる
- 意志力が低下する
- 自己コントロール力を失う
- 色々なジャンルに波及する
- 割れ窓理論と同じ
- 自分の中のルールなどが崩れると発生する
- 何かをやめようとしている時
- 短期的な目標に挑んでいる時
- 「やめる目標」を「やる目標」に変える
- 短期目標を長期目標に変える
- 失敗から目を背けない
- 複数の目標を作ってどれか1つでも達成できればOKとする