さよならスマホ、2050年に普及率0% 眼球に情報端末
日本経済新聞によると…
日本の人口が1億人を切る2050年代には、世界でスマートフォンが姿を消して目に情報端末を装着しているかもしれない。
触覚もデジタルで再現され、メタバース(仮想空間)で現実のようにスポーツを楽しむことも。
国内人口の半数を占める見通しのデジタル世代が新しいライフスタイルを生む。
Zとα世代が新しい世界けん引
「2050年にスマートフォンとパソコンの普及率は0%」。みずほ銀行が昨年4月にまとめた50年までのIT(情報通信)など主要産業を展望する調査報告書。
生活必需品といえるスマホの世界の普及率は30年に現在の65%から60%に低下し、50年に0%と予測する。
スマホが影も形もなくなったとしても、生活のデジタル化は止まらない。
同報告書は、眼鏡型の「スマートグラス」や裸眼に装着する「スマートコンタクト」などの次世代の情報端末が、スマホの代わりに生活に溶け込んでいくと指摘する。
スマートコンタクトの普及率は50年に70%と予測するが、情報端末を目の中に入れることに抵抗感を持つ現役世代は少なくない。
みずほ銀産業調査部の山口意参事役は「(2010年代以降に生まれた)α世代や(1990年代半ば以降に生まれた)Z世代が新しい世界のけん引役となる」と語る。
同報告書によると、2050年にはZ世代とα世代以降が総人口の半数を占める見通しだ。
生まれた時にはスマホが存在し、デジタル上のコミュニケーションが当たり前のα世代。
現在は10代以下の彼ら彼女らが大人になるとともに、スマホも「ガラケー」のように時代遅れの存在となっていく。
次世代端末を駆使してメタバースなどで交流する時間が増していくのは必至だ。
独調査会社のスタティスタは、世界のメタバース市場が30年に約4900億ドルと22年から11倍に拡大すると予想する。
出会いは仮想空間、アバターで会話
すでにZ世代の間では、現実と仮想空間が融合したコミュニケーションが浸透しつつある。
今年4月にサービス開始し、恋愛メタバースをうたう「Memoria(メモリア)」。
参加者は30種類以上の中からアバターを選び、人工知能(AI)の導きで出会った異性のアバターと一対一で会話を楽しむ。
20〜30代の若者を中心に週50件以上の出会いが生まれ、カップルが約30組成立した。
結婚したカップルも2組いるという。
現実とデジタル融合、触覚を再現
テクノロジーの進展で現実との融合が加速し、仮想空間上の生活や仕事が主流となる可能性もある。
50年には触覚をデジタルで再現する「ハプティクス」も当たり前の技術となりそうだ。
ソニーは8月に「重心可変デバイス」と呼ぶ新技術を発表した。
仮想現実(VR)ゴーグルを装着した状態で可変式の棒状デバイスを手に持つ。
ゴーグル内の映像と同期して弓矢や銃を使う動きを取ると、手元のデバイスを通じて本物のような力の感覚が伝わってくる。
実用化されれば、デジタル空間で現実のようにテニスなどのスポーツを楽しむことができそうだ。
同社はハプティクスを活用し、足踏みすると氷雪や砂の上を歩いている感触を覚える技術も開発している。
日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05DI70V01C23A0000000/)