「市役所は残業がなさそうで定時に帰れるから楽でいいよね。」というイメージを、あなたは持っていませんか。
もちろん、定時で帰ることができる場合もありますが、毎日定時で帰れるとは限りません。
市役所には残業がないという固定観念は昔の話なのです。
では一体、市役所ではどのくらい残業があるのでしょうか。
それは、部署により大きく異なります。
ほとんど残業がない部署もあることは間違いありませんし、時期によってものすごく忙しくなるけど、それ以外の時期はほぼ定時に帰れるという部署もあります。
残業が多い部署や時期により残業時間が変わる部署はどこなのかなど、気になるところですよね。
そこで今回は、市役所の残業の実態について、お伝えしていきます。
なぜ市役所で残業が発生するのか
一言でこれが原因ということは言えませんが、思いつく限りのものをいくつかお伝えします。
原因1:人口減少に伴う職員の削減
市役所で残業が発生する原因として、まず、職員数が減っているということが挙げられます。
人口が減っているということは、職員数も減っていくのですが、やらないといけない仕事の種類や量が減るわけではありません。
つまり、職員一人当たりの仕事量が増えているということです。
原因2:市民ニーズの多様化
時代の変化とともに市民からの要望も変化しますが、その要望は、人それぞれ違います。
市役所としては、なるべくそれらの要望に応えていかなければならないため、仕事の種類が増えていってしまうのです。
原因3:マルチタスクによる効率の悪化
市役所の仕事は、自分が受け持っている仕事だけをやれば良いというものではありません。
他の職員の仕事を手伝うなどチームワークを必要とする時がありますし、勤務時間中は、窓口や電話対応に追われる場合もあります。
その様に、様々なタスクを行わなければならず、一つのことに集中して仕事ができる環境ではないため、残業が発生してしまいます。
原因4:規則などの交通整理ができていない
市役所の仕事には、細かいルールがたくさん設けられていますが、そのルールを改正するときは、たいていの場合上書きで、昔からのルールが削除されずに残っていることがほとんどのため、だんだんとタスクが増えていきます。
「この仕事は必要なのか?」と思うような内容のもが、結構な割合を占めているように感じます。
原因5:職員の勉強不足
市役所職員で、ビジネス書などの本を読む人は少ないのではないでしょうか。
社会人になってから勉強を怠ると、仕事をすることがだんだんとつらくなっていきます。
日々のタスクを効率よく計画的にこなすにはどうしたら良いのかなど、本やセミナーなどで外の情報を学ぶということをしないため、仕事の効率が悪くなり、残業することになるのです。
市役所は定時に帰れるは昔の話
市役所の定時は何時から何時まで?
ほとんどの市役所の定時は、午前8時30分~午後5時15分までで、基本的に正午~午後1時までは昼休憩です。
一部の市役所では、夜間の受付窓口を設けているところもあります。
また、昼休憩中も市民の方がいらっしゃるため、昼当番を決めるなどして、職員は時間をずらしながら昼休憩をとります。
残業の有無は部署による
市役所では、残業の多い少ないは部署により異なりますが、大きく分けて3タイプに分けられます。
その3タイプとは、「慢性的に残業が多い」、「時期により残業が発生する」、「イベント等で平日以外の仕事が多い」です。
市役所により、その課が受け持っている仕事が異なる場合がありますので一概には言えませんが、それぞれのタイプには、だいたいどのような部署が当てはまるのかを、見ていくことにしましょう。
①慢性的に事務量が多い部署
財政課、企画課、職員課、防災課、国保課、福祉課、水道部、教育委員会
この中でも、圧倒的に残業が多いのは、財政課ではないでしょうか。市役所全体の予算を司る部署のため、毎日深夜まで数字とにらめっこしていますし、補正予算や予算編成の時期などは、日付が変わるまで残業や土日出勤は当たり前になっています。
企画政策課は、市全体の総合計画や各種会議を担当するほか、議会の答弁案のとりまとめ・訂正等を行うため、書類とのにらめっこで残業していることが多いです。
職員課は、何百人、何千人といる職員の雇用関係の手続きを行うため、残業しない日の方が少ないですね。
防災課は、非常配備員や避難所配備員を決めたり、防災訓練や防災会議、災害対応を行ったりする時期は、かなり忙しくなります。
特に防災訓練や防災講話などは土日に行うため、日中の残業だけでなく、休日出勤は必須です。
また、ひとたび大きな災害が発生すると、その対応に追われ、本来の通常業務は夜遅くになってからようやく着手できるという状況になります。
しかも、自分の街だけでなく、日本国内(又は協定を結んでいる海外の国)のどこかで大きな災害が発生すると、派遣や支援物資の手配でほとんど休むことができずに仕事を行います。
国保課は、国民健康保険関係などのとりまとめで、市民への連絡などのやり取りや書類の整理など、朝から晩まで仕事をしています。
福祉課は、ご高齢の方や生活保護の方、介護が必要な方など、日中はその方たちの対応に追われ、時間外に事務処理を行う場合が多いようです。
水道部は、課ではなく部でひとまとめにしてしまいましたが、水道部の全員が残業しているというものではなく、予算担当の人が深夜まで残っていることが多いです。
なぜかというと、水道部は一般会計ではなく、特別会計(下水道事業等)や企業会計(水道事業等)により税金を運用しているため、独自で予算を持っているからです。
教育委員会もひとまとめにしてしまいましたが、基本的に教育委員会も定時に帰れることの方が少ないです。
特に、体育課(スポーツ関係の課)は、学校や団体の課外活動や土日祝日のイベント等で勤務時間外の仕事が多く、日中はその計画や調整、準備、会議などで走り回りっています。
②時期により残業が発生する部署
総務課、税務課、市民窓口課、建設部局
総務課は、例規関係の修正や選挙事務、議会の時期などに急激に忙しくなります。
税務課は、大きく市民税と固定資産税に分けられますが、市民税の係員は、確定申告から税徴収の時期である1月末~5月末まではかなり忙しいです。
特に、4月〜5月末までは土日祝日も大型連休(ゴールデンウィーク)もないと言っていいでしょう。
固定資産税の係員は、家屋調査などで、時期的というよりもどちらかというと慢性的に残業しているイメージがあります。
市民窓口課は、引っ越しが多いシーズンや連休の合間、お盆、年末年始などは繁忙期と言えるでしょう。
市役所の休みは暦通りで、年休を取得しない限りは、お盆や連休の合間が休みになることがなく、その時期には市民が窓口に殺到します。
また、マイナンバー制度の導入のように、窓口関係の手続き方法が変わった時は、残業しても追いつかないほど、忙しくなります。
建設部局には、土木、建築、公園、都市計画などがあり、計画策定の時期や工事の入札、工事終了などの時期には、そのための書類作成や手続き関係で忙しくなります。
また、台風や地震などの災害が発生すると、街の復旧のために率先して動くことになります。
③平日以外の仕事が多い部署
協働課、収納課、交通課、秘書課、情報課、商工課、各公共施設
協働課は、町内会や自治会の対応のため、夜間の会議や土日祝日の町内のイベントへの出席などがあります。
収納課は税の取り立て屋であり、平日の日中は、窓口に来た滞納者の苦情処理、それ以外の時間は、滞納者へアポを取って自宅へ伺って対応するなどの仕事があります。
交通課は、時期により夜間の巡回などがあります。
秘書課は、市長の随行のため、基本的に土日祝日は出勤です。特に、市制○年などのイベントがある時は、平日の夜遅くまで残業しています。
情報課は、土日祝日や時間外の各種イベントへ出向いて取材などを行い、それを広報誌などにまとめます。
また、サーバー監視などのため、交代制で寝泊まりすることもあるようです。
商工課は、祭り系のイベントを観光協会と連携しながら行うため、その手配や準備で残業をすることもありますし、皆がイベントを楽しんでいる中、イベントが上手く進行するように気を張りながら仕事をすることもあります。
各公共施設は、会議室や体育館などの会場の貸し出しで、基本的には土日祝日勤務で、平日に職員が交代して休暇を取ります。残業はさほど多くないかもしれませんが、勤務日や休暇日が不規則です。
ここに挙げなかった部署についても、残業が全くないということはありません。
平日の夜遅くまで勤務せざるを得ない時もありますし、土日祝日に出勤することもあります。
市役所の残業代の実態について
残業代は比較的付きやすい
市役所の残業代は、基本的には申告制です。
出勤簿はあるものの、タイムカードなどがあるわけではなく、残業時間は自己申告になります。
たいていの場合、残業時間は15分~30分単位で付けますが、1時間未満の残業の場合は申告しない人がほとんどですし、1時間を超えた場合でも、10分程度の端数は切り捨てで申告する人が多いようです。
やはり、自分で残業時間を報告するとなると、少なめに申告する心理が働くようですね。
その代わり、申告した分の残業代は、問題なくもらえます。
休日の残業は勤務時間によって代休に変わる
休日に出勤した場合は、勤務時間が4時間を超えると、自動的に半日(4時間)代休、8時間を超えると1日代休になります。
端数に関しては、時間外勤務ということで、残業代がもらえます。
休日に6時間勤務した場合、4時間の代休と2時間の残業代の支給となる。
代休になった分は、60日以内に平日のどこかで代休をとることになりますが、財政課や体育課など、元々休む間もなく働いている職員は、代休の取得を逃してしまうことが多いようです。
残業代がつくのは係長級まで
市役所では、残業代が発生するのは、平の職員(主事補など)~そのグループを統括する係長級(統括主任など)までです。
それ以上の職の人たちは管理職となり、残業をしても残業代が発生することはありません。
その代わり、管理職手当が、残業の有無にかかわらずつくことになります。
また、管理職が各種イベントや災害対応に勤務した場合は、その時間に応じてある程度の手当てが発生したり、代休取得になる場合があります。
市役所における残業の労働環境などについて
照明や空調を節電する
勤務時間外は、一部の照明を消し、空調はストップするなど、労働環境は良いとは言えません。
市民の目があるので仕方のないことではありますが、余計に仕事がやりづらくなることは間違いないでしょう。
特に、夏の時期は蒸し蒸しして汗をだらだら書きながらデスクワークをし、冬の時期はぶるぶる震えながら仕事をすることになります。
また、照明も一部しかつけないため、残業をして視力が悪化する人がほとんどと言っても過言ではないでしょう。
一定の残業時間を超えると面接をすることもある
たいていの場合、月に60時間以上の残業を行うと、精神的、身体的に問題ないかなどのアンケートを行うことになります。
また、場合によっては、巡回医との面談を勧められることもあります。
財政課などは、残業時間が月に100時間を超えることがざらにあるので、当たり前のようにアンケートや面接を実施することになるでしょう。
まとめ
「市役所には残業がない」という固定観念は、古いということがお分かりいただけましたでしょうか。
そして、部署により、残業の多少がかなり変わってくるということでしたよね。
「①慢性的に事務量が多い部署」についてはほぼ毎日残業で、定時に帰れるときの方が少ないくらいですが、②と③の部署に関しては、残業と定時に帰れる日が半々といったところでしょうか。
まぁ、これもそれぞれの市役所によって多少の違いはありますが…。
また、残業代については、市役所の事務職の場合、上司にもよりますが、比較的付きやすいです。
ただし、保育職や消防職については、残業してもなかなか残業代がもらえないということの方が多いのではないでしょうか。
特に保育職は、園長の意向によって、残業代がつくつかないの差が大きく異なるという話をよく聞きます。
残業代が支給されない分の残業については、サービス残業ということです。
市役所の事務職の場合、そのあたりはある程度守られているのですが、できれば残業をせずに定時で帰りたいところですよね。
ビジネス書を読めば、仕事を効率化するための方法や習慣が書いてあるので、それらを取り入れてタスクをこなすことも大切ですよ。
市役所って残業あるの?月100時間を軽く超える部署もある まとめ
- 原因1:人口減少に伴う職員の削減
- 原因2:市民ニーズの多様化
- 原因3:マルチタスクによる効率の悪化
- 原因4:規則などの交通整理ができていない
- 原因5:職員の勉強不足
- 市役所の定時は、原則午前8時30分~午後5時15分(正午~午後1時は昼休憩)
- 慢性的に残業が多い部署は、定時に帰れることの方が少ない
- 確定申告など時期的に忙しくなる部署もある
- 平日の時間外や土日祝日に仕事をせざるを得ない部署もある
- 残業代は比較的つきやすく、原則自己申告制
- 残業代がつくのは係長級までで、管理職は残業の有無にかかわらず管理職手当がつく
- 照明や空調を節電するため、残業時の労働環境は良くない
- 残業時間が多いとアンケートや面接を行うことになる
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