セルフイメージとは、自分自身に抱いている印象のことで、どのようなセルフイメージを持つかによって少し先の未来の自分をコントロールすることができます。
そんなセルフイメージには、良いイメージと悪いイメージがあります。
私たちは日ごろから、自分自身を守ろうとして無意識にネガティブなことを考えてしまいがちです。
そのため、「あぁ、嫌だなぁ。」などと思っていると、本当に嫌なことが起こることがあるので注意しなければなりません。
不安や問題を克服するため、あるいは理想の自分になるために、セルフイメージを活用することが望ましいです。
そこで今回は、少し先のポジティブな未来を実現させるために必要なセルフイメージ活用法について、科学的知見からお伝えします。
セルフイメージは恐怖症さえも治す
セルフイメージで恐怖症が治ると聞いて、あなたは信じられますか。
「いやそんな、イメージだけで治るわけないでしょ。」
と疑いたくなるかもしれませんが、苦手意識を克服する時にも、セルフイメージは役立ちます。
例えば、アメリカのカンザス大学では、暗示を用いて蛇の恐怖症を克服したという報告をしています。
カンザス大学の実験の概要
人一倍蛇に苦手意識があり、蛇を見ることすら困難な女性を対象に、次の3つのグループに分けて実験を行いました。
A
特に何もせず普段通り5週間過ごしたグループ
B
体が緊張で固まった時にリラックスするトレーニングを5週間行ったグループ
C
体のリラックスのトレーニングと共に、「自分は能力が高い」、「苦手なものを克服できるタイプだ」などと自己暗示を5週間行ったグループ
実験結果
A
(当然ながら)蛇恐怖症は治らなかった
B
蛇が怖いという意識はあるが、今までより多少平気になった
C
蛇を見ても必要以上に怖がらず、蛇恐怖症を克服した
このように、セルフイメージは苦手なことを克服したい時に使えます。
「自分はできる人間だ。」、「不安になっても必ず上手くできるから大丈夫。」などと自分自身に自己暗示をかけることで、変わることができるんです。
自信を付けるためのセルフイメージ
不安になって前に進めない時ってありますよね。
そんな時に活用すると前向きになれるセルフイメージ法があります。
それは、「これはもう経験済みだから大丈夫だ」と逆境をばねにする方法です。
例えば、バスケットの神様と呼ばれたマイケル・ジョーダンは、プレッシャーがかかると、「大丈夫、これはもう経験済みだ。」と自分に言い聞かせていたそうです。
1982年のNCAAチャンピョンシップ・ファイナル(大学のバスケット試合)では、劇的な幕切れでチームを勝利へと導いた。
この時、マイケル・ジョーダンは、自陣のベースライン際から22フィート(約6.7m)も離れた相手のゴールにシュートを決め、ノースカロライナ大学チームの優勝を決めた。
マイケル・ジョーダンはプロになってからも、試合で窮地に追い込まれた時には、常にその場面を思い出すようにし、「大丈夫、経験済みだ。」と自分に言い聞かせて冷静さを取り戻していた。
マイケル・ジョーダンのように、私たちが何か困難な問題にぶつかった時、今までの人生で似たような経験を思い出して、「これと似たようなことはあの時に経験済みだ。」と思うようにしましょう。
すると、肩の力が抜けて、メンタル的に余裕が生まれます。
- 挫折したあの日は3日で立ち直れた
- 大学受験の時のプレッシャーに比べれば、それほど大したことはない
- あの時の失敗に比べれば、今の問題はまだ何とかなる
などと、困難にぶつかった時に、自分に言い聞かせてみてください。
なりたい自分になる方法
演じる
なりたい自分を演じているうちに、本当にその通りになることがあります。
よく自己啓発の本などにも書いてあるので、もしかするとあなたは「そんな馬鹿な。」などと感じているかもしれませんが、気持ちの持ちようによっては良くも悪くもなります。
例えばケース・ウェスタン・リザーブ大学では、次のような心理実験を行っています。
90人の学生を集め、性格判断のビデオ教材を作成するための登場人物になり切るよう依頼した。
その際、次の2つのグループに分けた
A:冷静で感情が安定している人を演じる
B:喜怒哀楽がはっきりしている人のように振舞う
ビデオ撮影後、参加者全員に25点満点の「感情的安定性テスト」というものを実施し、演じることによって性格が変わるのかを調査した。
このテストは、25点に近いほど感情表現が豊かで、点数が低いほど冷静で落ち着いたタイプであることを見分けるテストである。
この結果、落ち着いた人を演じていたAの人たちの平均点は6.9点であり、喜怒哀楽を表現していたBグループの平均は19.1点だった。
落ち着いた人を演じていると本当にその通りの性格へ変わっていき、喜怒哀楽を演じると表現豊かな人物へ変わっていくことが分かった。
演じることに抵抗がある場合は、服装を変えるという手もあります。
自分の理想とするモデルを想像して、その人が普段身に付けている服装などを真似することで、だんだんと自分もそのモデルに近づいていきます。
たとえ演じているだけだと頭では分かっていても、日々振舞っていると、自分の描く願った人物へ近づくことができるんです。
強い肩書を持つ
「地位や肩書が人を作る」という言葉があります。
地位や肩書は、セルフイメージを高めてくれるんです。
例えば、リーダーシップがない人でも、管理職になってそのような能力を求められるようになると、自然にリーダーシップを発揮するようになることもありますよね。
役職は自分ではなかなか決められませんが、肩書であれば自分で変えることができます。
名刺の肩書を変えたり、人に見せるのに抵抗がある場合は、手帳の裏側にこっそり書いておくなどすれば良いんです。
一つ注意しないといけないことは、肩書を考える時に平凡な肩書を付けてはいけないというもの。
「スーパー○○」や「ナンバーワン○○」、「超エリート○○」のように、誇張した肩書を持つことが大切です。
- 営業部 ○○太郎 ⇒ ナンバーワンセールス ○○太郎
- 平凡なサラリーマン ⇒ カリスマミラクル係長
- ベジータ ⇒ 超エリートサイヤ人
- 街角の八百屋 ⇒ 家族の絆と健康を促進するS級プロモーター
ちなみに肩書を強化するというセルフイメージには、ラベリング効果があります。
ラベリング効果とは、「自分はこういう人間だ」とあえてラベルを貼ることで、それが潜在意識に刻み込まれて本当にその通りの人物になることを指します。
ラベリング効果を狙う時は、今、本当に自分がそうなのかを考える必要はありません。
なりたい自分を自由に設定すればいいんです。
ワンランク上の肩書へラベリングすることによって意識が変わり、自信とパワーがみなぎってくることでしょう。
セルフイメージを活用する5ステップ
- Step1:今抱えている不安や問題を書き出す
- Step2:過去に似た経験をしていないか考える
- Step3:必ず乗り越えられると自己暗示をかける
- Step4:なりたい理想の自分を書き出す
- Step5:姿勢や服装を意識して理想の人物を演じる
まとめ
セルフイメージとは、自分に抱くイメージのことです。
当たり前のことですが、良いイメージを思い浮かべればその通りの結果が手に入り、悪いイメージを思い浮かべると上手くいかないことばかり増えるので注意しなければなりません。
そんなセルフイメージを活用して、まずは不安や恐怖を克服しましょうということをお伝えしました。
「これくらいどうってことないんだ。」と思ったり、「今までにも似たような経験をして何とか乗り越えたから今回も大丈夫だ。」などと思ったりすることが大切です。
そして、セルフイメージをもっとポジティブに活用すれば、あなたが思い描く理想の人物になることさえできます。
『セルフイメージを活用する5ステップ』をぜひ活用していただき、セルフイメージを高めて理想の人生を手に入れましょう。
なりたい自分になる!恐怖症さえも治すセルフイメージ活用法 まとめ
- 体の緊張をほぐすトレーニングと共に「自分なら大丈夫」と言い聞かせたグループは蛇恐怖症を克服した
- 過去の辛かった経験を思い出す
- その経験を乗り越えたからこそ今の自分がいることを認める
- 今回も何とかなると言い聞かせる
- 理想の人物像を演じる
- 強い肩書を持つ
- Step1:今抱えている不安や問題を書き出す
- Step2:過去に似た経験をしていないか考える
- Step3:必ず乗り越えられると自己暗示をかける
- Step4:なりたい理想の自分を書き出す
- Step5:姿勢や服装を意識して理想の人物を演じる
- 人も自分も操れる!暗示大全/内藤誼人/2019.9.20/すばる舎
- 非常識な成功法則【新装版】/神田昌典/2011.10.28/フォレスト出版
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