呼吸が荒くなって全身が震え、足がガクガクし出して次第に冷や汗をかく。
そのような恐怖を、できれば克服したいですよね。
恐怖は、突然現れる感情の一つですので、抑制したり完全に消し去ったりすることはできません。
しかし、恐怖の種類によっては、条件付きであえて体験することにより、人生を良い方向へ変えることができるのです。
逆に、このことを知っていないと、いつまでも恐怖を克服できずに、悩まされることになります。
恐怖を克服してやる気に変えるためのキーワードは、「自発的」。
さて、それはいったいどういうものなのか、さっそくお話ししていきます。
そもそも恐怖って何?
恐怖を感じた時に起こる反応
恐怖とは、動物や人間が持つ感情の一つで、自分の力を超えたものによって、身体的又は精神的に脅かされたり、危害を加えられたりすることを極端に恐れることです。
以下のような身体的な反応と精神的な反応が起こります。
- 呼吸が荒くなる
- 全身が震える
- 泣き叫ぶ
- 体が硬直する
- 声が出なくなる
- 鼓動が激しくなる
- 冷や汗をかく
など
- 決断力が鈍る
- 激しい警戒心を抱く
- 音や動きに敏感になる
- 人とうまく関わることができなくなる
- 不眠、うつ、悪夢、幻覚などが現れる
など
人は恐怖によってコントロールされている
恐怖は、人を縛り付けたりコントロールしたりするため、最も注意すべき感情といえるでしょう。
しかも、意識していないのに、恐怖に支配されていることもあるのです。
例えばあなたは、「もっとお金が欲しい。」、「たくさん稼ぎたい。」などと思ったことはありませんか。
その欲望は、モチベーションアップにつながるのですが、裏を返すと「お金が無くなったら生きていけなくなる。」という恐怖に支配されていることにもなります。
実は無意識に恐怖に支配されている、という認識をすることが、恐怖を克服する第一歩なのです。
遺伝子レベルでプログラミングされている
「恐怖を克服する、しないを考える前に、恐怖を感じなくしたいんですけど。」と思うかもしれませんが、残念ながらそれはできません。
冒頭でもお伝えしたとおり、恐怖を完全に抑制したり消し去ったりすることはできないのです。
なぜなら、命を脅かすような危険が迫ったら恐怖を感じるよう、私たちの遺伝子に組み込まれているから。
しかもそれは、人間だけでなく、あらゆる動物の遺伝子にプログラミングされているのです。
狩猟が中心の生活だった時代は、獲物と死闘を繰り返してきました。
その時に恐怖という感情を感じなければ、人類は狩られる側で子孫が反映せず、とっくに人類は滅んでいたことでしょう。
戦争だってそうです。生きるか死ぬかの世界で恐怖を感じずに逃げようとしなければ、息絶えてしまいます。
昔の人間にとって、恐怖は、生き延びるために必要な感情だったのです。
IQを極端に低下させる
恐怖は、IQを極端に低下させ、判断力を鈍らせます。
例えば、山道を散歩している時に、突然前方に熊が現れたとします。
この時、瞬時に恐怖を感じて、一気にアドレナリンが分泌されて興奮状態に陥ります。
そうなると、戦うか逃げるかのどちらかを選択せざるを得ない状況になりますよね。
当然このような時に、「熊の身長や体重はどれくらいで、向かってくるスピードは時速何kmだから、この方法を使えば危険を回避できる。」などと、冷静に分析することは不可能になるのです。
直観的にヤバいと判断して、咄嗟に体が動いて逃げる体制をとることでしょう。
しかし、もし仲間がいたら…。
「皆で戦う」などという、誤った判断をしかねませんよね。
恐怖を感じている時は、判断力が鈍って逆に事態を悪化させてしまうこともあるのです。
現代社会にはほとんど必要のないもの
狩猟時代では、常に戦うか逃げるかの選択をしながら生きながらえてきました。
しかし今の社会では、獲物を捕まえる必要はほとんどなく、むしろ知識と論理を駆使する生活が中心となっています。
先ほどもお伝えしたとおり、恐怖を感じるとIQが下がってしまうため、そのような状態では、知識と論理を上手く扱うことができません。
恐怖に乗っ取られると、最悪な結果を招いてしまうこともあるのです。
ただ、恐怖は遺伝子にプログラミングされているものですので、消し去ることはできませんよね。
そのため、恐怖を克服するためには、恐怖を2種類に分けて対策する必要があります。
2種類の恐怖について
感じて当然の恐怖
私たちは、命の危険にさらされる事態に陥った時、咄嗟に恐怖を感じるようにできています。
先ほどの熊の例でもお話ししたように、あなたの目の前に熊が現れたのにも関わらず、「大丈夫、何とも無いでしょ。」などと恐怖を感じなかったら、その場でジ・エンドになってしまいますよね。
このように、煽り運転や暴漢など急に人に襲われたり、突然災害に見舞われたり、熊やイノシシ、蛇など危険な動物と遭遇するといった、予期しない出来事に対して恐怖を感じるのです。
そのような感じて当然の恐怖は、コントロールしようがありません。
むしろ、恐怖を感じないと死に至る危険があるのです。
感じる必要のない恐怖
一方で、感じる必要のない恐怖が存在します。
例えば、会社を辞めたら食べていけなくなるという恐怖。
狩猟時代の飢餓に対する記憶が遺伝子に刻み込まれているため、会社を辞めると生きられなくなるという恐怖がありますが、実際はすぐに死んでしまうことはないのです。
人と話すこともそうですよね。
初対面の人と話すことを、ついついためらってしまいがちですが、話してみると、意外と良い人で、相手も話したいと思っていたということもあります。
このような感じる必要のない恐怖は、コントロール可能です。
しかも、恐怖を克服するだけでなく、やる気に変えることもできるんですよ。
恐怖を克服してやる気に変える方法
感じる必要のない恐怖を克服してやる気をアップさせる一番の方法は、自発的ネガティブ体験を行うことです。
この自発的ネガティブ体験には、どのような効果があるのかを実験したものがあります。
262人の男女を対象に行った実験で、恐怖は人間にどのような影響を与え、そのメリットやデメリットは何かを調査するために、お化け屋敷に行く前後の被験者の心理状態を計測した。
【結果】
お化け屋敷で恐怖を感じた被験者は、メンタルが良くなって気分も改善された。
恐怖はアドレナリンを上昇させるので、一時的にやる気が上がっただけなのか確認するため、神経を調べてみると、神経反応が低下していた。
これは、リラックスしている時と同じような状態である。
さらにその後も、一定期間、活力も向上し、様々なことにチャレンジしたり仕事の効率が上がったりした。
なぜ恐怖を感じたのに、メンタルが改善されてやる気が上昇したのか、不思議ですよね。
これは、お化け屋敷にチャレンジするという、自ら恐怖体験を行った、つまり自発的ネガティブ体験をしたため、起きたことなのです。
お化け屋敷に行くか行かないかは、自分で決めることができますよね。
しかも、たぶんビビるだろうと恐怖を予測することもできます。
お化け屋敷に限らず、バンジージャンプでもジェットコースターでも、挑戦しようとしている仕事でも何でも良いのですが、事前に恐怖を感じるだろうと予測することにチャレンジすることで、達成感が生まれてメンタルが改善されるのです。
恐怖と興味があることにチャレンジする
⇓
メンタルが良くなり気分が改善される
⇓
活力がアップして行動力が増す
⇓
しかもリラックス効果まで得られる
⇓
さらにほかのものにもチャレンジする
感じて当然の恐怖を克服する方法
感じる必要のない恐怖は、あえてチャレンジすることで克服してさらにメンタルが良くなりますが、感じて当然の恐怖は克服不可能なのでしょうか。
残念ながら、完全に克服することはできません。
しかし、恐怖を感じた後に、あることを行うと、その恐怖を和らげることができます。
そのあることとは、ボディスキャンというテクニックです。
- Step1:恐怖を感じていることを認識する
- Step2:頭のスキャン
▶パーツごとにどこが緊張しているかを確認する
▶眉間にしわが寄っていないか、口がへの字になっていないか、歯ぎしりをしていないかなど - Step3:上半身のスキャン
▶肩に力が入っていないか、呼吸が浅くなっていないか、腕が緊張していないか、お腹が張っていないかなど - Step4:下半身のスキャン
▶太ももが震えていないか、ふくらはぎに違和感はないか、つま先を丸めていないかなど
もし、ボディスキャンをできないほどの恐怖を感じているのであれば、自分の鼓動や呼吸に注目すると良いです。
いつもより鼓動や呼吸が激しくなっていることに気づけば、少し冷静さを取り戻すことができます。
まとめ
恐怖という感情は、現代社会にはあまり必要のないものです。
だからといって、恐怖から逃げてばかりいると、人生の質が落ちて幸福度が下がってしまうので、注意が必要です。
恐怖は、私たちの平凡な生活に刺激を与えてくれます。
それゆえ、恐怖を克服できるとメンタルが改善されてやる気がみなぎるんですよ。
恐怖を克服する方法は、主に2つでしたよね。
一つは、比較的安全だと分かっていることに対する恐怖は、思い切ってチャレンジすること。
そしてもう一つは、受動的に感じてしまう恐怖を認識して、今の自分の体がどんな状態になっているのか確認することです。
恐怖に陥ると身動きが取れなくなってしまって、せっかくのチャンスを逃してしまうことにもなります。
そうならないためにも、恐怖を感じたのであれば、「感じて当然の恐怖」なのか、それとも「感じる必要のない恐怖」なのかを認識して、それぞれの克服方法を実践してきましょう。
恐怖を克服するコツ!自発的体験が怖いをやる気に変える まとめ
- 身体的又は精神的に脅かされた時に、極端に恐れること
- 人は恐怖によってコントロールされている
- 遺伝子レベルでプログラミングされている
- IQを極端に低下させる
- 現代社会にはほとんど必要のないもの
- 感じて当然の恐怖 突発的な出来事に対して感じる恐怖
- 感じる必要のない恐怖 比較的安全と分かっているものに挑戦する時に感じる恐怖
- 自発的ネガティブ体験が恐怖をやる気に変える
- ボディスキャンを行う
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