「公務員は給料が安定してもらえるし、なんだか民間企業よりも高そうだから、一生安泰だよね。」
と、あなたは思ったことはありませんか。
しかし本当に、公務員の給料は安定して高額なのでしょうか。
もしあなたが、公務員の給料は安定で高額と思っているのであれば、それは勝手に抱いているイメージの可能性がありますので、一度、公務員の給料がどのように決められているのかを、調べてみる必要があります。
また、公務員には、一般事務や消防、警察、保育士、教職員、技師、保健師等々、様々な職種があり、それぞれ基本給が異なります。
細かい給料の決め方については、各自治体により異なりますが、もしかすると、あなたが思っている以上に、公務員の給料は安いかもしれませんよ。
そこで今回は、一般事務職の公務員の給料の決まり方や、公務員の給料だけで家族を養えるのか、などについてお伝えします。
公務員の給料はなぜ安いのか
利益を求めず生産性がないから
国や自治体は、皆のお金である税金を収入源としており、官公庁が利益を求めて何かを生産するということがありません。
また、公務員は全体の奉仕者であるため、住みやすい街づくりを目指したり、企業を誘致したりするような政策で人を呼び込み、税収をアップさせたのであれば、またそれを企業や住民に還元する必要があるのです。
つまり、人が何かを生み出して稼いだお金の一部を税金として受け取り、それを給料としている以上、勝手に自分たちの給料を上げることができない、ということですね。
歩合給ではなく固定給だから
公務員の仕事からは利益が生まれないということは、どれだけ仕事を頑張ったとしても、人よりも多く給料がもらえるということはありません。
何か多大な業績を残しても、公務員である以上、給料が固定給に加算して支給されるような歩合制にはならない、ということも公務員の給料が安い理由になることでしょう。
民間企業の給料の平均が公務員の給料だから
公務員の給料は、原則、民間企業の給料の平均により決まります。
後ほど、「公務員の給料はどのように決まるのか」で詳しく解説しますが、民間企業の平均ということは、民間企業以上の給料になることはありませんし、民間企業が稼いでくれないと、自分たちの給料も上がらないということにつながります。
また、民間企業の中には、歩合制を取り入れているところもあり、やればやるだけ給料が上がる可能性もありますが、公務員の場合は、残念ながら天井が決められているのです。
公務員の給料はどのように決まるのか
人事院勧告により決定される
人事院とは、内閣の所轄下にある、国家公務員の人事管理を担当する中立的な第三者・専門機関で、その幹部(人事官3人)は、国会の同意を経て、内閣により任命され、天皇によりその任免を認証されます。
その人事院では、毎年、国家公務員と民間企業の4月分の給料をラスパイレス方式で比較し、国家公務員の給料を決定しているのです。
そして地方公務員では、国家公務員に合わせて給料を決めています。
つまり、まず国家公務員の給料を、独自の判断ではなく、民間企業と比較して決め、地方公務員は国家公務員と比較して決めるということです。
そのためたいていの場合、給料の大小は、民間企業>国家公務員>地方公務員となります。
ある年の物価指数を、加重平均(各種の平均をさらに平均する方法)により算出する方式のこと。
国家公務員の給料を算定する場合、役職、勤務地域、学歴、年齢を同じくする人たちの給料を民間企業と比較して決めている。
地方公務員の給料を算定する場合も、原則、国家公務員の給料をラスパイレス方式により算定する。
国家公務員全員が算定の対象とはならない
国家公務員は、全国に約58.3万人いますが、国家公務員の給料を算定する際には、「一般職の職員の給与に関する法律」の適用を受ける約27.5万人を対象としています。
つまり、特別職を除いた半分以下の一般職の国家公務員の4月分の給料を、民間企業の4月分の給料を比較して算定しているということですね。
民間企業はどこまでが対象なのか
算定対象となる民間企業も、全部の事業所が対象というものではありません。
企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上事業所を対象にしています。
そのため、おそらく国家公務員よりも大企業の給料の方が高くなりますが、50人未満の中小企業においては、もしかすると国家公務員の給料の方が高いのかもしれません。
公務員の給料は具体的にいくらくらいなのか
40代の国家公務員のおおよその給料
基本給だけで見た場合、40歳の国家公務員の年収は、だいたい500万円です。
意外に安いと思うかもしれませんが、これに、特別給(ボーナス)や管理職手当、扶養手当等が入ってきます。
特別給は、その年によりますが、基本給の4か月分くらいの給料ですので、110万円くらいが追加で支給されるイメージです。(基本給の4ヶ月分くらいが、6月末と12月中旬の2回に分けて支払われます。)
扶養家族の有無など、家庭の事情にもよりますが、トータルすると、年収は700万円くらいで、そこから税金等が引かれて手取りは550万円を下回るのではないでしょうか。
ただしこれは、40歳を超えたあたりに支給される額です。
20代や30代では当然もっと低くなります。
初任給は月額15万円くらいで、20代後半で年収400万円いったら良い方でしょう。
地方公務員の給料はどうか
国家公務員の給料を基準に算定し、基本給や特別給はそれよりもさらに低くなりますが、「地域手当」というものをプラスして給料を決めます。
地域手当の額は、各自治体の財政状況などによって異なっているため、地方公務員の給料にばらつきが出るのです。
初任給だけを見ると、月額12万~14万円がほとんどのようで、具体的な年収はいくらくらいなのかというと、45歳前後で約580万円です。
ただし、これは自治体によりかなりの差が生まれます。
例えば、最も給料が高い都市は、40歳で年収750万円を超えるところもありますが、最も低い自治体は、50歳で年収400万円を下回ります。
ちなみに、45歳前後で年収580万円という数字は、加重平均しているため、その数字が算出されているのです。
公務員の給料だけで生活できるか
部署により残業代が発生する
今の公務員の仕事は、残業がない部署の方が少ないくらいです。
特に国家公務員は、シャワーと数時間の仮眠をとるだけのために、家に一度戻る生活を余儀なくされる部署がほとんどのよう。
地方公務員も、残業がない課はほとんどなく、時期によっては、土日出勤、深夜勤務が当たり前になるケースもあります。
しかし、一般事務職の場合、サービス残業をさほどすることなく、ある程度の残業代は支給されます。
(保育士や教職員などは、サービス残業の場合が多いようです。)
共働きしている家庭が多い
一般事務職の公務員は、産休や育休、時間給などの休暇が取りやすいということもあり、共働きしている家庭が多いです。
やはり、公務員1人だけの給料では、家庭を養うことが難しいということではないでしょうか。
20代のうちに結婚してしまうと、なおさら共働きしないと家計が苦しくなることでしょう。
今後の公務員の未来予想
2040年までに、約1800ある自治体のうちの半分(896自治体)が、人口減少により消滅する可能性があると言われています。
消滅するとどうなるのかというと、吸収合併か破綻してどこかの都市の管轄下に置かれるかのどちらかになることが予想できますよね。
もし働いている自治体が消滅してしまったら、給料はどうなるのでしょうか。
2006年に財政破綻した北海道夕張市を見てみると、6割の市職員はクビになり、残った市職員の給料は4割カットされています。
「公務員の給料は安定だから」という理由だけで、公務員になろうとすると、もしかすると将来苦しい思いをすることになるかもしれませんよ。
まとめ
公務員の給料は、確かに安定して受け取ることができます。
ただし、毎年基本給は固定されているというわけではなく、国家公務員は民間企業と比べて、地方公務員は国家公務員と比べて若干の上下変動がある、というものでしたね。
大体の目安ですが、「大企業>国家公務員>地方公務員≒中小企業」と示すことができるのではないでしょうか。
ちなみに私は市役所に10年間勤めましたが、10年目の年収は、地域手当や残業代などを含めて、550万円くらい、そこから税金などを引いて手取りが400万円くらいでした。
決して低くはないけど高くもないといった感じでしょうか。
公務員の給料は、国民の給料の平均値だと考えても、差支えないでしょう。
公務員の給料は安い?!「安定=高額」は勘違い まとめ
- 利益を求めず生産性がないから
- 歩合給ではなく固定給だから
- 民間企業の給料の平均が公務員の給料だから
- 人事院勧告により決定される
- 国家公務員全員が算定の対象とはならない
- 民間企業は企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上事業所が対象
- 40歳の国家公務員の年収は約700万円
- 45歳前後の地方公務員の年収は約580万円
- 部署により残業代が発生する
- 共働きしている家庭が多い
- 財政破綻により6割の市職員はクビ、残った市職員の給料は4割カットという事例がある
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