広告やCM、通販番組などを見て、異常にその商品が欲しくなることはありませんか。
場合によっては、必要かどうかなんて気にせず、勢いに任せて買ってしまうこともありますよね。
実はそこには、私たち人間が衝動買いしたくなる心理が利用されています。
その衝動買いをする心理を知っていると、もう広告を見て騙されるようなことはなくなりますし、逆にそれを自分のビジネスに活用すると、上手く人を誘導して売り上げを伸ばすことができるかもしれません。
そんな購買意欲を掻き立てて人の行動を操る恐ろしい手口について、お話しします。
思わず衝動買いをしてしまう心理
プロパガンダ戦略
プロパガンダとは、大衆扇動(大多数の人を誘導する方法)のことです。
これは、ヒトラーの時代に生まれたと言われています。
例えば戦争は、本来良くないものだということは、皆分かっていることですよね。
でもヒトラーは、プロパガンダを使い、民衆の考え方を戦争は良いものだという認識に変え、大勢の人達をコントロールしていったのです。
かなり、恐ろしい手口ですよね。
ヒトラーほど過激ではないにしても、どの国の政治家も、プロパガンダ戦略を意識して演説をしたり行動を取ったりしています。
もちろんこれは、政治以外にも活用できます。
プロパガンダ戦略を身に付ければ、ビジネスで多くのファンを集めたり、商品をブーム化したりすることができるでしょう。
プロパガンダ(大衆扇動)=説得力×影響力
繰り返されるものに弱い
すなわちプロパガンダとは、一対多数の心の誘導法のことです。
自分一人に対して大勢の人の心と行動を誘導・支配することを指します。
広告やCMなどを見て衝動買いしたくなる心理が働くのは、企業などの広告主がプロパガンダを上手く利用しているからなんです。
では、実際どのように私たちを扇動してくるのか?
その一つの方法として、繰り返し見せるという戦略があります。
私たちは繰り返されるものに弱いです。
なぜかというと親近感を持ってしまうから。
「その広告の商品を持っていることが当たり前、周りの人達は手に入れているのに自分はまだ持っていない、だから買う。」
というような心理が働いたら赤信号です。
必要かどうかは考えずに、欲しいからという理由だけで買ってしまい、見事プロパガンダ戦略にハマって衝動買いすることになってしまうのです。
意図を疑うべきメッセージ
私たちは真剣に考える事柄ではない限り、面倒くさがって事実かどうかを検証することはありませんよね。
一つひとつ、「それは本当か?必要なものなのか?」などと疑って調べようとすると疲れてしまいます。
なので、基本的には思考よりも感情によって、行動するかしないか、商品を買うか買わないかを決めているんです。
「なら、感情を無視して行動を取ればいいんじゃないですか。」
と思うかもしれませんが、それはまず不可能です。
例えば、オーガニックでヘルシーな食事は体に良いということは分かっていても、大して腹が減っておらず、食べたいという感情が動かなければ食事しませんよね。
逆に、道を歩いていた時に、こってりトロトロの照り焼きチキンハンバーガーのいい匂いが漂ってきたら、ヘルシーとは程遠いジャンクフードに手を伸ばしてしまうことでしょう。
このように、私たちは基本的には感情に逆らって行動を取ることは難しいです。
そして、その感情を動かすメッセージがいくつも存在しています。
そのメッセージは、かなりの数があって私も全て知っているわけではないんですが、ある程度ジャンル分けして、これらのメッセージだけには気を付けようというものを列記します。
- 頻繁に繰り返される
- 強調された情報
- 類似性に訴える
- グループ制を強調する
- 自分を納得・説得するよう促す
- モデルを活用している
- 恐怖を煽る
- 一面性(利点など)しか伝えない
- 限定性・希少性を強調する
- 少し良いことをしてくれた後にお願いしてくる
- 少し無理なことを言った後に譲歩したお願いをしてくる
人の心と行動を操る方法
とにかくアピールする
消費者目線からするとこれらのメッセージは疑うべきですが、もしあなたが商品やサービスを売る立場になった時には、逆に利用した方がいいです。
「利用する」と聞くと、人を騙しているような感覚になって後ろめたさを感じるかもしれませんが、そこは遠慮しなくて大丈夫。
本来、プロパガンダやマーケティングとは、人を良い方向へ導くために使うものです。
あなたの扱っている商品やサービスが、本当に良いもので人の役に立つと信じているのであれば、相手に良いものだと気づいてもらうために、ガンガンアピールするべきなんです。
とにかく繰り返す
実は、人に影響を与える要素は、20個以上あると言われています。
その20個を全てやろうとすると複雑で大変になってしまうので、とりあえず一つに絞って行った方が良いでしょう。
最も効果的とされているのは、繰り返して接触回数を増やすことです。
繰り返すことで、どのような恩恵が得られるのか…
例えば、ビールは苦いし体に良くないものと分かっていても、繰り返し飲んでいるうちに慣れてきて、いつの間にかビール無しではいられない食生活になるのと同じようなこと。
他には、タレントさんなんかがそうですよね。
何回もテレビやYouTubeなどで見ているうちに、好感度が高まっていつの間にかファンになっているということはよくあることです。
これは単純接触効果といって、私たちは触れることが多いものに好意を抱きやすいんです。
嫌なことや抵抗がある事でも、何回か触れることによってだんだんと慣れていきます。
このことを活用して、商品やサービスを売ると良いでしょう。
単純接触効果には、じつは法則が存在します。
それをザイアンスの法則、またの名を「4:7:21の法則」と言います。
これはどういうものかというと、
「4」は既存顧客に次の商品を買ってもらうために必要な接触回数
「7」は見込客(新規顧客)にフロントエンド商品(試供品など)を買ってもらうために必要な回数
「21」は見込客にバックエンド商品(高額で利益率の良い商品)を買ってもらうために必要な接触回数
4や7、21という回数は、最低限必要な接触回数です。
商品やサービスを売る時は、このザイアンスの法則を意識すると良いでしょう。
繰り返す時の注意点
繰り返しアピールする時には、5回以上同じ事を言ってはいけません。
「あれ?さっき言ったことと矛盾していませんか。」
と混乱するかもしれませんが、実は、同じことを繰り返しすぎるのはよくないんです。
5回以上同じものを繰り返すと、しつこいと思われるので注意しましょう。
ではどうするかというと、背景や文言、表現方法などを変えたりして、同じ商品・サービスでもアプローチの方法を変えます。
少しずつバリエーションを変えて繰り返すことにより、説得力を上げられるのです。
なぜこのような現象が起きるのかというと、私たちは同じことには飽きやすくて集中力が下がり、変わったものには注目しやすいから。
また、自分と似たものや関係があるものに反応しやすいので、バリエーションをいくつも用意することによって、どれかがヒットするからです。
このことは、『【教育の科学】勉強を効率よく行うための2つのポイント』でもお話ししましたが、私たちは「既に知っている」と思った瞬間に、それに関する全ての情報をシャットダウンします。
そのため、商品やサービスを売る場合は、バリエーションを変えながら接触回数を増やすと良いのです。
法廷でも、証拠を出せば出すほど有罪(又は無罪)になりやすいというデータがあります。
全てかどうかはわかりませんが、法廷ではたいていの場合、真実を求めるのではなく、勝つか負けるかが目的となっています。
例えば刑事の場合、検察側も弁護側も、それぞれ自分の生活がかかっているので、いかにして自分側(検察官であれば被害者(相手が有罪になること)、弁護士であれば加害者(自分が無罪又は刑が軽く済むこと))が有利になるかどうかが勝負となります。
そこで、重要なのが証拠の提示回数です。
3回証拠を提示するよりも5回提示した方が有利になり、5回提示するよりも10回提示した方が有利になる場合が多いのです。
ここにポイントがあって、同じ内容の証拠を何回も提示しても意味がありません。
なので、小出しにして内容が違う証拠を何回も提示することにより、有利・不利が決まってきます。
法廷でもプロパガンダ戦略が使われている場合があるということです。
まとめ
今回は、私たちが衝動買いしてしまう心理と、ビジネスを行う場合は逆にそれを利用しましょうということをお伝えしました。
私たちは基本的には感情に沿って行動を取っていますので、心が揺さぶられるメッセージにはその意図は何なのかを疑った方がいいです。
そうしないと、いいように騙されて「買うんじゃなかった」などと後悔することもあるので、気を付けないといけないですよね。
反対に、ビジネスではプロパガンダ戦略を利用するべきです。
人を動かす方法は20個以上ありますが、全て行うとブレてしまうので、まずは接触回数を増やすことをすると良いでしょう。
ただし、同じものを何回も繰り返すとしつこいと思われて飽きられてしまうので、バリエーションやアプローチ方法を変える必要があります。
本当に良い商品やサービスであると確信しているのであれば、それに気づかせるためにも、プロパガンダ戦略を利用するべきです。
私たち人類を良い未来へ導くために、プロパガンダを活用していきましょう。
【衝動買いの心理】なぜ広告から購買意欲を掻き立てられるのか まとめ
- プロパガンダ戦略が利用されている
- プロパガンダとは政治家がよく行う手法のこと
- マーケティングでもプロパガンダは利用されている
- プロパガンダ=説得力×影響力
- 意図を疑うべきメッセージ
- 人は感情に逆らって行動することが難しい
- 感情を動かされるメッセージには注意する
- とにかくアピールする
- とにかく繰り返す
- 同じことを5回以上繰り返さない
- バリエーションを変えて伝える
- プロパガンダ 広告・政治宣伝のカラクリを見抜く/アンソニー・プラトカニス/エリオット・アロンソン/(訳)社会行動研究会/1998.10.30/誠信書房
- 繁盛店が必ずやっているチラシ 最強のルール/渋谷雄大/2016.1.7/ナツメ出版企画
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