大気が汚染された所に住み続けると、メンタルが低下して幸福度が下がるという研究があります。
普段、何気なく吸っている空気。
この空気の良し悪しが、私達の精神に影響を与えているのです。
大気汚染の中でも、とりわけPM2.5とメンタルの関係について調べている研究がいくつか存在します。
飲み水については色々と調べているけど、空気については対策どころか気にしていないという人がほとんどではないでしょうか。
そこで今回は、ロンドン大学やマサチューセッツ工科大学などの研究を元に、大気汚染とメンタルの関係についてお伝えします。
PM2.5とは?
PM2.5とは、非常に小さく細かな粒子状の物質で、その大きさは、2.5μm(マイクロメートル)以下です。
これは、私達の髪の毛の太さの30分の1以下に相当します。
身体への影響に関しては、肺などの呼吸器官や循環器系にダメージを与えるとされています。
今回は、身体へのダメージではなく、精神への影響についてです。
結論から言うと、PM2.5などが多く大気汚染がひどい場所に長年住んでいると、うつになる確率が10%上がるというもの。
なぜ大気汚染が精神へダメージを与えるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
大気汚染と精神疾患の関係
うつ病になるリスクが上昇する
ロンドン大学の研究によると、大気が汚染されている地域に住んでいる人は、うつ病や双極性障害(躁うつ病:極端にテンションが上ったり下がったりする症状)、不安症などになりやすいことが分かっています。
この研究は、今までに大気汚染について経過観測された室の高い25件の研究を対象にメタ分析を行い、PM2.5に半年以上さらされていると、不安になりやすくなってうつ病のリスクが上がるというものです。
もう少し具体的に説明すると、PM2.5の濃度が10μg/㎡増えるごとに、うつ病のリスクが10%アップするとのこと。
さらに、PM2.5に短期間さらされただけでも、自殺のリスクが上昇してしまうのです。
もしPM2.5が44μg/㎡から25μg/㎡に減ると、世界のうつ病が15%ほど減ると言われています。
空気がきれいな場所に住むだけでも、メンタルを安定させる可能性があるということがわかりました。
他人への攻撃性が増す
マサチューセッツ工科大学(MIT)では、Twitterを使って次のような研究を行いました。
2億1千万件以上のツイートを分析し、大気汚染とメンタルの関係性を調べた。
その結果、PM2.5の濃度が高い地域に住んでいる人ほどネガティブな書き込みが多く、特に怒りに囚われた言動が多く見られた。
PM2.5の地域に住み続けると、幸福度が下がり、他人への攻撃性が増すことが分かった。
世界人口の90%以上が危険
WHO(世界保健機関)によると、世界人口の90%以上の人の人体及び精神が、大気汚染により危険にさらされています。
大気汚染レベルの高い地域に住んでいる人がほとんどであるということです。
産業革命以降、経済中心で世の中が成り立っているので仕方のないことかもしれません。
しかし、物質的に豊かになった反面、それと引き換えに精神的な幸福度が下がり続けていることを、WHOは勧告しています。
理想ではありますが、多少大気が汚れているところで働くのは仕方ないにしろ、普段生活する場所は空気がきれいな所だと良いですよね。
なぜPM2.5が精神へ悪影響を及ぼすのか?
統計上、PM2.5の濃度が高く大気が汚染された地域に住んでいると、精神へのダメージが悪化することが分かっています。
しかしなぜ、PM2.5によりメンタルが低下するのか、よく分かっていないのが現状です。
これは仮説ですが、PM2.5を吸い込むことにより、体内が炎症したり酸化しやすくなったりします。
そしてその炎症が神経まで及ぶとHPA軸(以下参照)の働きを乱してしまい、ホルモンの分泌のバランスが崩れるからではないかと考えられています。
大気が汚染された地域に住む人ほど攻撃性になるのは、コルチゾールなどのストレスホルモンが過剰に分泌されるなどしてメンタルが病みやすくなっている場合があるのです。
イライラが収まらなかったり、変に不安を抱いたり、集中力が亡くなっている場合は、もしかすると大気汚染が原因なのかもしれません。
神経内分泌と自律神経を調節し、ストレスに対して免疫を上げる生体防御の機能を果たす。
考えられる大気汚染対策
大気は、世界レベルで汚染されてしまっているのでこれといった対策がないのが事実です。
しかし、多少和らげることくらいならできるかもしれません。
- 工場や幹線道路、鉄道の近くには住まない
- 自然豊かで静かな場所へ引っ越す
- PM2.5を捕まえてくれる空気清浄機を設置する
- キャンピングカーなどを利用して一つの場所へ定住しない
などの対策が考えられます。
自分の家から半径200m以内に、工場や幹線道路、鉄道があると、心疾患のリスクが高まるという研究があります。
大気が汚染されやすく、砂ぼこりが舞いやすいことに加え、騒音により人体と精神の両方にダメージが行くからです。
現実的な対策としては、空気清浄機を設置することかもしれませんが、個性の時代となり自宅で仕事をする人が増えてきているので、一つの場所にこだわることなく色々な場所へ移動しながら仕事するのが、私達の理想であり目標でもあるのかもしれませんね。
まとめ
大気汚染、とりわけPM2.5が人体へ及ぼす影響については、WHOや環境省を始め、様々なところで危惧されています。
精神への悪影響については、メンタルが病みやすくなり、精神疾患になったりうつ病になったり、攻撃性が高くなることが考えられます。
また、もちろん人体への悪影響もあり、
- 心臓や肺の病気にかかりやすくなる
- 脳卒中や認知症のリスクが上昇する
というようなこともあるようです。
普段何気なく吸っている空気ですが、当然のことながら空気がないと私達は生きてはいけませんよね。
水を飲まなくても数日間は生き延びることができますが、空気がなくなると数分で死んでしまいます。
それだけ大切な空気が汚染されているとなると、私達へ影響が出るのは当たり前のこと。
しかし、世界レベルで汚染されてしまっているので、せめて自分のことは自分で守るべきではないでしょうか。
空気清浄機を設置したり、可能であれば田舎へ引っ越したり、あるいはキャンピングカーなどを利用して遊牧したりなど、自分や家族だけでも対策をして身を守りたいところですよね。
大気汚染でメンタルが10%悪化?!PM2.5の多い地域に住むと危険な理由 まとめ
- 2.5μmの微小粒子状物質のこと
- 髪の毛の太さの30分の1以下の大きさ
- 身体と精神の両方に悪影響を及ぼす可能性がある
- うつ病になるリスクが上昇する
- 他人への攻撃性が増す
- 世界人口の90%以上が危険
- 実際のところはよく分かっていない
- 体が炎症や酸化を引き起こすことが原因か?
- HPA軸が乱れる可能性がある
- 工場や幹線道路、鉄道の近くには住まない
- 自然豊かで静かな場所へ引っ越す
- PM2.5を捕まえてくれる空気清浄機を設置する
- キャンピングカーなどを利用して遊牧する