市役所の仕事は他と比べて楽なのだろうか…
そのように気になったことはありませんか。
結論から言うと、民間企業や起業家たちと比べると楽です。
ただし、楽がゆえに苦しいとも言えるでしょう。
なぜ市役所の仕事は楽なのに苦しいのかというと、「やりがいが感じられない」、「市役所職員だけでは解決できない問題がある」、「ややこしい人間関係の問題」などが理由に挙げられます。
おそらくこれらが原因で、市役所の仕事に苦しさを感じている職員が多いのではないでしょうか。
もしこれらが解消できるのであれば、市役所の仕事を「楽」から「楽しい」に変えることもできますよね。
そこで今回は、市役所の仕事が楽だけど苦しく感じる理由や、なるべく仕事を楽しむためにすべきことについて、お伝えします。
市役所の仕事は楽だけど苦しい理由
民間企業などと比べれば楽
民間企業などの場合、自分たちの存続がかかっています。そのため、利益を生むことにつながる仕事をしなければ、明日を生きることができない可能性があります。
利益を生み出すことは、そう簡単にできるものではありませんし、時間がかかることがほとんどで、経験が必要なことでもあります。
そして、結果が全てのため、結果を出さなければクビか窓際族になってしまうこともあるのです。
対して市役所などの官公庁は、営利目的のために利益を求めて仕事をするのではなく、徴収した税金を使って、住民のために働きます。
また、公務員は社会的な身分が保証されており、大きな問題を起こさない限り、クビになることもありません。
そうした守られた環境の中で仕事をしているという点においては、民間企業などと比べて市役所は楽と言えるでしょう。
- 民間企業などは結果重視でプレッシャーが多い
- 市役所は営利目的のための仕事はしない
- 公務員は社会的な身分が保証されており、安定して給料がもらえるという守られた環境にある
基本的にやりがいは感じられない
市役所の仕事の8割は、やることが決まっています。
予算査定や議会対応、各種イベントなど、時期が決まっているため、それに向けて準備をする内容も、いつからどのようにしてやれば良いかを、過去の書類を見ながら仕事をこなすことができます。
つまり、ルーティンワークがほとんどのため、市役所の仕事は楽なのです。
ただし、これらの中には、ルールが厳重に決められているものがほとんどです。
市役所は税金を使って運営しているがために、その税金が適正に使われているのかを問われることが数多くあるため、書類の作成方法や手続き方法など、やり過ぎではないかと思うほどの厳しく複雑なルールが決められています。
少し言い方が悪いかもしれませんが、後で問題が起きた時に、この書類で説明していると市役所側が正しいことを証明するための、「責任回避」とも言えるでしょう。
基本的には、過去のやり方を参考にしつつ、ルールに従って仕事をすれば誰でもできることですので、市役所は楽と感じるかもしれませんが、「何のためにやっているのだろうか…。」と、やりがいを感じられなくなり、それが苦しみに変わることは事実としてあります。
- ルーティンワークがほとんどで、人間じゃなくてもできる仕事が8割
- 書類作成などに厳重で複雑なルールが決められていて自由がない
- ルールに意味を見出そうとするとやりがいを感じられなくなり、仕事が苦しくなる
市役所だけでは問題解決ができない
市役所へ住民からの要望が寄せられることは多々あります。
その中には、すぐに対応できないものや、どうしても解決できないものも含まれているのですが、対応しないと要望がクレームに変わることもあるのです。
なぜすぐに解決できないのかというと、税金で運営している以上、予算が限られているからです。
もしこれが民間企業の場合、要望に応える対価としてお金を受け取ることができるので解決しやすいのですが、市役所は営利目的禁止のため、一部を除き、それができません。
(公共駐車場や施設利用料などは、条例や規則を定めて徴収することができます。かなりの格安ですが…。)
また、市役所の仕事のほとんどは入札により外注するため、事業を着手するまでに多くの時間がかかってしまいます。
自分たちが直接解決することができる問題が少ないがために、仕事を苦しく感じてしまうということも理由として挙げられるでしょう。
- 予算が限られているため、住民からの要望にすぐに応えられない
- 市役所だけでは解決できない問題が半分以上を占める
- 市役所の仕事のほとんどは外注のため、自分たちの無力さを感じる
人間関係に束縛を感じる
市役所における人間関係は、「職場内の人間関係」と「市民との人間関係」の2つに分けて考えることにします。
まず、職場内の人間関係ですが、上下関係を気にする人たちが極めて多いことは事実としてあります。
公務員のイメージを悪くさせてしまうような言い方になるかもしれませんが、簡単に言うと、自分よりも目上の人に対しては機嫌を伺ってヘコヘコし、下の人たちに対しては横柄な態度で偉そうに命令してこき使うということです。
全ての人がそうであるとは限りませんが、こうなるには様々な理由があります。
- 肩書や役職を気にする人が多く、自分より下の役職の人は自分を敬うべきという古い風習が根強く残っている
- 法律などに「上司や先輩の言うことには必ず従う」という内容が定められている
- 議会等で議員と接する機会があり、公務員という立場上、議員に対して強く出られない場合が多い
- 市役所は閉ざされた組織のため、ヒエラルキーが生まれやすい
- 従わなかった場合、悪いうわさが一瞬で市役所内に広まって、仕事がやりづらくなる
- 市役所の仕事は基本的に誰でもできるがゆえに、ほとんど失敗せずに多大な功績を残したと勘違いともいえる自信がついて態度が横柄になる人が、あなたの周りにいる
- 自分の能力の無さを隠そうとして態度が大きくなる人が、あなたの周りにいる
また、市民との人間関係にも問題を生じることが多いのです。
- 市役所を万事屋と勘違いして何でもかんでも頼って来る人がいる
- 公務員だからという理由で、地域行事にほぼ強制的に参加させられる
- 公務員だからという理由で、地域の役員などをやらされる
- 議員の言うことに反論できず、従わざるを得ない場合が多い
これらに共通して言えることは、「テイカー」があなたの周りに数多く存在しているということです。
テイカーとは、Give&Takeの「Take」から来ているのですが、相手に与えることよりも多くのことを相手から奪おうとする人たちです。
市役所の職員は、仕事に息苦しさを感じている人がほとんどです。そのため、ついつい相手から何かを奪い取ろうとしてしまいます。
市民の場合も、自分の利益のことしか考えていないため、市役所に対して不平不満を言ってくるということがいえるでしょう。
市役所の仕事を「楽」から「楽しい」に変えるために
ビジネス書を読む
社会人になると、勉強をしなくなる人がほとんどです。特に公務員は、その傾向が強いのではないでしょうか。
本を読んでいると、なぜ読書なんかするのか、そんな暇があったら限られた人生を遊びに使えばいいのにとバカにしてくる人もいるほどです。
しかし、勉強を止めてしまうと、苦しさが増す一方。
勉強せずに目の前のタスクをこなしていれば、確かに楽かもしれませんが、苦しみは消えることはありません。
一般的に言われていることですが、楽を求めると苦しみもセットでついてきます。
一方で、楽しさを求めれば、大変かもしれませんが、苦にならなくなるのです。
今の仕事を効率化するにはどうしたら良いのか、上手くいく計画の立て方はないのか、画期的なアイディアを生み出すにはどうしたら良いのか、良好な人間関係を築き上げるためにはどのような方法があるのだろうかなどについて、ビジネス書を読み始めると、人生の歯車が良い方向へ動き出すことでしょう。
人を選んで付き合う
全ての人と分け隔てなく付き合うことを考えてしまってはいけません。
もしあなたの周りに、楽をしようとする人がいたり、横柄な人がいたりすると、あなたも気づかないうちに、彼らのようになってしまう場合があります。
なぜなら、私たちには周りの人たちの仕草や言動をコピーする能力が備わっているからです。
自然に日本語が話せるようになっていたり、いつの間にか箸を使えるようになっているのも、あなたが周りの人たちをコピーしているからなのです。
ところで、人間関係において、人間は3種類に分けられると言われています。
- テイカー
人に与えることよりも、人からできるだけたくさんのものを奪おうとする人のこと。相手に依存している状態。 - マッチャー
受け取った分だけ相手に与えようとする、平等の意識を持っている人のこと。自立している状態。 - ギバー
相手から何かを受け取るよりも多くのものを、まず最初に相手に与えようとする人のこと。相手とは相互依存の関係にある。
市役所の場合、テイカーが約半分、マッチャーが半分といったところでしょうか。
ギバーの人たちは、数%いるかいないかであるように見受けられます。
テイカーの人たちは、常にあなたから何かを奪おうとしており、そのような人たちと一緒にいるとかなり疲れてしまうため、距離を取らなければならないのです。
対市民となると、なかなかそういうわけにいかなくなるかもしれませんが、テイカーの人たちの対応をしつつ、他の善良な市民を意識しながら仕事をすることが大切でしょう。
まとめ
「市役所は楽なイメージがあるから、就職しよう。」という考えだけで入庁すると、苦しい思いをすることは間違いありません。
仕事をするために、ある程度のルールは必要ですが、市役所の仕事の場合、それが本当に相手に役に立つものなのか、誰のために設けられたルールなのか、疑問を持つことがほとんどなのです。
それに、部署によっては、数字とにらめっこしながら一日を終えることもありますし、場合によっては日付が変わっても作業が終わらないこともあります。
確かに、民間企業などと比べると市役所の仕事内容は単純で楽なのですが、人間ではなくてもできる仕事が多いため、やりがいよりも息苦しさを感じることの方が多いです。
一方で、人間関係はどうかというと、そちらも息苦しさを感じている職員がほとんどでしょう。
公務員は肩書を気にするせいか、仲間意識が強いのか縄張り意識があるのかわかりませんが、常に相手との上下関係を意識して仕事をする人がほとんどのように感じます。
この職場の人間関係について、なかなかうまく表現できないのですが、自分で自分を認めることよりも、他人に認めてもらって自分を評価する、(承認欲求)とでも言いましょうか。
それゆえ、自分を大きく見せたくて体育会系のような風習になってしまっているものと考えられます。
市役所の仕事に何を求めるのか…。
もしあなたが、自分を犠牲にしてまで、街のため、市民のために仕事をしたいという強い情熱を持っているのであれば、市役所内で楽しく仕事をすることができることでしょう。
しかし、市役所の仕事は楽そうだから、という理由で市役所に入ったのであれば、後悔することが目に見えています。
もしそのような理由で、市役所に入庁したのであれば、今からでも本を読むなどして勉強し、あなたにしかない知識を使って仕事を楽しむようなスキルを身に付けることをお勧めします。
市役所の仕事内容は楽、その代わり苦しみが伴う まとめ
- 民間企業などと比べれば楽だがやりがいは感じられない
- 市役所だけでは問題解決ができないことが多い
- 公務員である以上、人から逃れられずに人間関係に束縛を感じる
- ビジネス書を読むなどして常に勉強する
- テイカーから離れるなど、人を選んで付き合う
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