なぜか漠然と焦りや不安を感じていることってありませんか。
仕事が原因なのか、プライベートが原因なのか、はたまた人生そのものに不安を抱いているのか…。
デジタル機器が発達し、労働よりも情報に重きを置く社会になった現代では、ますます焦りや不安を感じやすくなっていると言われています。
なぜ情報社会の中で生きていると、焦りや不安を感じやすいのでしょうか。
その多くの原因は、スマホの使い方にあります。
スマホそのものが悪いということではなく、使い方に問題があるのです。
そのことについては、【情報社会特有の焦りや不安の原因、仕事後はこのケアが大事】でも触れました。
今回は、前回よりももう少し深く入り込んで、焦りや不安の原因と対処法をお話ししていきます。
焦りや不安には2種類ある
原因が分かっているもの
海外へ出張しないことに不安を感じている、書類の提出の期日がもうそこまで迫っていて焦っているなど、やるべきことがあって、でもどうやってやれば良いかわからない、間に合うかどうかわからないというような時の焦りや不安のことです。
このようなケースは、ある程度焦りや不安の原因が分かっているので、対処しやすいです。
何かに追い立てられているから焦りや不安を感じるので、その原因を突き止めさえすれば、対処できます。
正体不明の焦りや不安
仕事が忙しい時は、それ以外のことは考えられないから不安にならないけど、休日などゆっくりできる日になると不安になるなど、日常生活が困っているわけではないが、何となく焦りや不安を感じるというものです。
休んでいるにもかかわらず、そわそわしてしまう、心配してしまうという場合は、明確な原因を突き止められないので、対処することが難しいのです。
しかし、最近の研究では、正体不明の焦りや不安は、スマホが関係しているということが分かってきています。
正体不明の焦りや不安の原因
マルチタスクが主な原因
時間が細切れになっていて、一つのことだけに60分以上じっくり集中して考えたり取り組んだりすることができなくなっていることが原因の一つと考えられます。
仕事をしていると、色々なことを同時にやらないといけないことが出てきてマルチタスクになってしまうかもしれませんが、家に帰ってからもマルチタスクをしていることが良くないです。
どういうことかというと、新聞を読みながらご飯を食べたり、テレビを見ながらスマホをいじったりするという「ながら行動」を行うこと。
このような状態では、一日中、脳がテンパっている状態になります。
脳を休めることができていないので、焦りや不安が生じてしまうのです。
2011年の実験
マルチタスクをすると、脳のワーキングメモリ(短期記憶)に支障をきたし、誘惑に弱くなることが分かっています。
そうなると、さらに刺激を求めるようになり、LINEやアプリゲームなどの通知に過敏反応するようになります。
これは、脳が興奮している状態。この状態が続くと、
さらに刺激を求めてスマホを見る
↓
マルチタスクになる
↓
ワーキングメモリがダメージを受ける
↓
誘惑に弱くなる
↓
さらに刺激を求めてスマホを見る…
という負のスパイラルに陥ることになります。
すると、脳の休まる時間が無くなり、焦りや不安が生じてしまうのです。
仕事をしている時や休んでいる時に、スマホが近くになくて触れない状況であればマルチタスクを防ぎやすいのですが、たいていの場合、スマホは手元にありますよね。
そのスマホから通知や着信があると、注意が途切れてしまうのでマルチタスクになり、脳にダメージを与えてしまうのです。
スマホ依存から発生する
スマホなどのデジタル機器に触れている時間が長いことが原因です。
【情報社会特有の焦りや不安の原因、仕事後はこのケアが大事】でもお伝えしましたが、スマホを触っている時間が長いと、時間が早く進んでいるような感覚に陥り、焦りや不安が生じてしまうのです。
2010年メリーランド大学の研究
200人の学生を集めて24時間デジタル断食を行いました。
すると、大半の人に焦りや不安などの禁断症状が発生。
麻薬と同じような状態です。
スマホそのものが悪いから捨てるべき、ということではなく、プッシュ通知やアプリゲームが気になって仕方なくなることが良くないのです。
普段は通知を切ったり、メールやSNSを見る時間を決めるなどする必要があります。
2011年の実験
インターネットの利用時間が長い学生は、うつの症状が出たり、不安傾向が高かったり、攻撃的になったり、恐怖症になったりなど、ネガティブな精神状態にはまっていることが分かりました。
よく、ゲームをすると何も残らないと言いますが、それは間違いです。
長時間のゲームプレイは脳の正常な機能を奪うので、マイナスになるのです。
2013年の実験
318人の被験者に対し、スマホの利用者と心理度をチェックしました。
すると、メールや通話、SNS、アプリゲームにはまっている参加者ほど、社会不安が高かったり、うつ傾向にありました。
スマホの中でも特によくなかったのが、SNSとアプリゲームです。
SNSはメンタルに良くないのでは、ということが言われています。
なぜなら、他人への嫉妬が増幅するからです。
インスタグラムなどは特にそうですよね。
良い生活をしているように見えるので、嫉妬が生まれやすいのです。
一方、ツイッターなどでは、悪口や不平不満、他人のコメントへの評価などが飛び交っています。
そのようなネガティブな言語情報を見ることにより、メンタルにダメージが与えられるので、注意しなければなりません。
時間を失ったという罪悪感
スマホなどのデジタル機器に浸っていると、時間があっという間に過ぎてしまったという感覚に陥ることはお伝えしました。
それと同時に、時間を失ってしまったという罪悪感も発生します。
それが、焦りや不安の原因になるのです。
- ゲームをして時間を過ごしてしまった
- SNSでコメントしていたらあっという間に時間が過ぎて疲れた
- やろうと思っていたことを後回しにしてついついスマホをいじってしまった
というような「時間を無駄にした」という罪悪感が、焦りや不安を生み出してしまうのです。
「無駄なことは分かっている、だけどそれをやってしまう」という状態は危険です。
罪悪感しか残らなくなってくるので、焦りや不安を通り越してうつにまで発展する可能性があるからです。
時間を制限せずにデジタル機器を触ることは避けるべきでしょう。
種類別焦りや不安の対処法
原因が分かっている場合
書類の提出期限が迫っているなど、焦りや不安の原因が何となく分かっているのであれば、それらの解決策をインターネットや書籍で調べたり、方法を練ったりするだけで、焦りや不安を和らげることができます。
また、やらなければならないことを先延ばしにしていても、焦りや不安が増してくるので、先延ばしにしていることを着手することで対処できます。
焦りや不安は、実際にはまだ問題が発生していない場合に感じるものなので、その問題が発生しないように対策を考えれば、焦りや不安に対処できるのです。
正体が不明の場合
デジタル機器を触らない時間を設ける
【情報社会特有の焦りや不安の原因、仕事後はこのケアが大事】でお伝えしたことですが、スマホなどのデジタル機器を触らない時間を30~60分作ります。
そしてその間は、スマホ以外の何か別のことに集中するようにするのです。
本を読む、散歩をする、子どもの相手をする、運動する、映画を見るなど、スマホや仕事のことを考えずに済むようなことをすると良いでしょう。
なぜ焦りや不安を感じているのか書き出す
書き出す作業が一番効果的です。
なぜなら、メタ認知できるから。
私たちは、自分の感情の原因を認識できていないことが多いので、なぜ今焦っているのか、不安なのかを紙に書き出すと良いのです。
紙に書き出すと、意外なことに、かなりスッキリします。
焦りや不安の原因が分からないから、さらにそのネガティブな感情が増すということもありますので、どうしてもモヤモヤと気になっていることが消えない場合は、紙に書くことを試してみてください。
まとめ
私たちの脳は、複数のことを考えているだけで、マルチタスクになってダメージが発生します。
食事をしながらニュースのことを考えていたり、仕事中にスマホゲームのことを考えているなど、目の前のこととは別のことを考えながら作業をしていると、脳がテンパってしまいます。
ただ、物思いにふけるな、ということではありません。
手を止めて考え事をする時間は必要です。
そうすることで、脳に溜まっていた情報が整理されてスッキリすることもあるからです。
問題なのは、作業をしながら別の作業をしたり考え事をしたりすること。
特にスマホは依存性が高いので、別のことをしている時もスマホのSNSやゲームが気になってマルチタスクになってしまうのです。
今の社会では、マルチタスクにならないことの方が少ないかもしれませんが、なるべくシングルタスクを意識すべきです。
もし、仕事中にシングルタスクが難しいのであれば、帰宅後、一つのことに集中したり、リラックスして何も考えようとしない時間を作ることが大事でしょう。
常に、何かやりながら別のことを考えていると、焦りや不安は増すばかりですので、マルチタスクをしない時間を作ることが大切ですよね。
この焦りと不安は何だ?!心の中に潜む「闇」の原因と対処法 まとめ
- やるべきことをやっていないなど、原因が分かっているもの
- 休日になるとなぜか気になるなど、正体不明の焦りや不安
- マルチタスクが主な原因
- スマホ依存から発生する
- 時間を失ったという罪悪感
- 原因が分かっている場合
・問題の解決法を調べるだけでも和らぐ
・先延ばしが原因であれば、手順を考えて着手しだすと和らぐ
- 正体が不明の場合
・デジタル機器を触らない時間を設ける
・なぜ焦りや不安を感じているのか書き出す
僕らはそれに抵抗できないー「依存症ビジネス」のつくられかた/アダム・オルター/2019.7.10/ダイヤモンド社
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