テクノロジーが発達して便利になるに従い、焦りや不安などのネガティブな感情は、昔以上に感じやすくなっています。
焦りや不安が悪化するとうつになるのですが、厚生労働省の統計によると、うつ病の患者数は、1996年に43.3万人だったのに対し、2011年には95.8万人まで増えてしまいました。
また、不安障害の患者数も急増し、2011年は約157万人の患者がおり、これは1996年の約2倍の数なのです。
なぜ、情報社会である現代において、焦りや不安が生じやすくなるのかというと、スマホやタブレット、パソコンなどのデジタル機器が大きく関係しています。
勘違いしていただきたくないのですが、それらデジタル機器そのものが悪いのではありません。
これは、私たち使う側の人間に問題があります。
デジタル機器は、タスクの処理速度を加速してくれるので、良いものです。
しかし、ある使い方をしていると、焦りや不安も同時に加速することになってしまいます。
そこで今回は、情報社会特有の焦りや不安の原因と、脳を元の状態に戻して焦りや不安を感じにくくするための、デジタル機器を使った後に行うべきケアについて、お伝えします。
情報社会に見る焦りや不安とは
スマホがもたらす影響
時間に関する心理学の研究を行っているオーストラリアのジームスクック大学は、スマホなどのデジタル機器を使うと、時間が足りなくなる感覚を生み出すと発表しています。
特に、スマホをよく使う人は、50分の時間経過を60分以上の時間が既に経過している感覚に陥るのです。
あっという間に時間が過ぎ去ったと誤解することが、焦りや不安を生み出す原因となります。
マルチタスクになる
スマホなどのデジタル機器が中心で仕事を行う時代になってから、私たちはマルチタスクをしてしまう傾向が増加しています。
パソコンで文章を作成していた時にメールが来てついつい見てしまう、LINEのプッシュ通知が鳴って確認してしまう、休憩がてらSNSを開いてしまう、仕事中にアプリゲームのことが気になって仕方ない…
このような経験を、きっとあなたもしているのではないでしょうか。
マルチタスクは、脳のワーキングメモリ(短期記憶)にダメージを与えます。
すると、テンパった状態で余裕がなくなり、焦りや不安が生じてしまうのです。
デジタル機器にはメリットもある
【スマホがもたらす影響】で、焦りや不安の原因をお伝えしましたが、もしかすると勘の良いあなたは、「なぜスマホを使うと時間の経過が早く感じるのだろうか?」と思ったかもしれませんね。
それは、デジタル機器を使うことのメリットと直結しているんです。
デジタル機器を使うようになってから、私たちの脳の処理速度が上がり、昔と比べて色々なことができるようになりました。
時代が情報社会に突入してからは、日進月歩というよりもむしろ、秒針分歩と言われているほどです。
それだけ、デジタル機器により効率化され、私たちの作業スピードが上がっています。
それは、素晴らしいことですよね。
でも、脳の処理速度が加速されるということは、先ほどもお伝えしたとおり、時間があっという間に過ぎ去ってしまう感覚にも陥ってしまいます。
焦りや不安を感じにくくするためには、デジタル機器を使った後に、脳の処理速度を元の状態に落ち着かせる必要があるのです。
仕事後に行うべき3つのケア
①ボーっとする
スマホもタブレットもパソコンも持たずに、ボーっとする時間をつくります。
仕事をやり終えた後は、脳のエンジンがまだ勢いよく回っている状態のため、それを落ち着かせる必要があるんです。
公園の中でも浜辺でも車の中でも喫茶店でもどこでも良いので、一人になれる場所を探して、そこで10分ほど何もせずに放心状態になります。
そうすることで、頭の中がリフレッシュされて焦りや不安を感じにくくなりますよ。
②瞑想する
ボーっとすることよりも、できれば瞑想をすると良いです。
瞑想するときは、なるべく座禅の姿勢をとると良いのですが、それが無理なら椅子に腰仕掛けても構いません。
そして、目を閉じてまず先に息を吐き切ります。
そしたら次に、鼻から7秒ほどカウントしながら吸って、1秒ほど呼吸を止めて14秒ほど口から息を吐きます。
ポイントは、吐く時間を吸う時間よりも長くすること、そしてカウントに意識を向けることです。
息を吸うと脈が速くなって興奮しやすくなり、息を吐くと脈が遅くなってリラックス状態になります。
しかも、カウントに意識を向けることによって他のことを考えなくて済むので、脳の処理速度が加速している状態を落ち着かせることができるのです。
瞑想も、5~10分ほど行うと良いでしょう。
③デジタル機器を使わない時間を楽しむ
スマホ、タブレット、パソコン、テレビなど全てのデジタル機器を使わない時間を決めて、その時間を他のことで楽しむと、焦りや不安が感じにくくなります。
ボーっとしたり瞑想したりすることもその一つですが、もしそれらが苦痛に感じるのであれば、無理に行う必要はありません。
その代わり、デジタル機器を遠ざける時間帯を30分でも1時間でも良いので決め、その時間は本や漫画、雑誌を読む、子どもと遊ぶ、散歩する、買い物するなど、デジタル機器を使用しないために、何か別のことをやるようにします。
そのように、プチネット断食をやることにより、脳を元の状態に落ち着かせることができるのです。
まとめ
焦りや不安の原因のほとんどは、ネット依存から来ています。
私たちは「依存症ビジネス」に知らず知らずのうちに支配・洗脳されているんですよね。
何とも恐ろしい…
なので、1日のうち数十分でも良いので、ネットを断つ時間を作ることが大切です。
私が公務員をやっていた時は、デジタル機器に依存しっぱなしでした。
テレビこそ見ないものの、仕事中はほとんどパソコンで作業し、家に帰ったらスマホいじりやネットサーフィン…。
気づいたら2時間も3時間も経っている時があって、時間を失ってしまったという焦りや不安を毎日感じていました。
本当に良くなかったなと。
それが祟ってか、「本当にこのままで良いのか、こんなダラダラな生活で生きていけるのだろうか。」と、うつ状態になったほどです。
うつ状態になった時に、スマホを見る気になれなくて、その代わりにオーディオブックを聴いていたら回復しました。
今振り返ればの話ですが、自然にネットを断つ時間を作っていたので、元に戻ったのだと思います。
繰り返しになりますが、スマホなどのデジタル機器は、脳の処理速度を加速してくれるので、様々なタスクをこなすことができる良いものです。
でもそれと同時に、時間間隔も早めてしまうので、時間が無くなってしまったという焦りや不安を生じさせてしまうものでもあります。
デジタル機器を活用して、もっと良い世の中を築き上げるためにも、デジタル機器との付き合い方を理解すべきですよね。
デジタル断食をする時間を設けるなどして、デジタル機器を使った後の、脳のケアを大切にしましょう。
情報社会特有の焦りや不安の原因、仕事後はこのケアが大事 まとめ
- スマホをよく使う人は、あっという間に時間が過ぎ去ったと誤解する傾向にある
- いつの間にか時間が無くなったという感覚が、焦りや不安を生み出す
- マルチタスクは、脳のワーキングメモリ(短期記憶)にダメージを与えテンパった状態になる
- テンパった状態になると、焦りや不安が加速することになる
- 脳の処理速度を速め、色々なことを早く終わらせることができる
- ボーっとする
- 瞑想する
- デジタル機器を使わない時間を楽しむ
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